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『もしドラ』が売れたのは、著者の執念の賜物?

200万部以上売れた『もしドラ』。
作者は岩崎夏海さん。
2009年12月3日発売なので、既に
11年以上経っている。
改めて、月日の過ぎる速さに驚く
ばかりだ。

知人に勧められ、

こちらの本を入手し、読み始めたら
ページを繰る手が止まらず、アッと
いう間に読み終えた。

売れるべくして売れた。
その、「売れるべく」の部分が、
赤裸々につづられている。

どういう経緯で、この本の
コンセプトにたどり着いたのか。
売れる自信は、どの程度あったのか。
結局のところ、なぜ売れたのか。

1万部売れたら立派なベストセラー
というビジネス書の世界で、
200万部超!というとてつもない
金字塔を打ち立てたわけだが、
ご本人は当初から200万部売る!
という目標を胸奥に抱いていた。
それを達成した原動力は何か。

岩崎さんは、元々は放送作家としての
キャリアを持ち、秋元康さんのところで
働いていらした。
面白いものを書き、それを世に問う夢が
あったにもかかわらず、一旦は挫折を
する羽目に陥ったという。

しかし、かつて秋元さんにボツにされた
コンセプトを、はてなダイアリーで
展開していたブログに投稿し、
そこにダイヤモンド社の編集者が
偶然気付いたところから、事態が
動き始めた。

挫折してから、事態が動き始める
までの間、岩崎さんは人としての
あり方を大きく変えた。
ご自身気付いていなかったそうだが、
それまでは独り善がりだった。
挫折を通じて思い知った
「自分はダメな奴」
ということを、自身で徹底的に身に
沁みさせるために、
自我を極力出さずに、
人の話を聴くことに徹するようにした

というのだ。

それが、結果的に大きな気付きを得る
ことにつながった。
かつては、自我の押し出しが強かった
せいか、人が集まってくるということ
はなかった。
聴くことに徹し始めてから、誰もが
ニコニコしながら近付いてきて、
色々と話してくれるようになった

というのである。

そして、このことに大きく影響を与えた
のが、カーネギーの『人を動かす』
以前に読み、心動かされたから、
というのだ。

私自身、全く同じような経験をしている
ため、このくだりへの共感度は100%、
独り大きく頷きながら読み進めた。

日本におけるドラッカーの分身、
故・上田惇生先生との初対面の
エピソードを読んでいるときには、
岩崎さんの人生につい感情移入して、
知らず知らず涙があふれてきた。
ビジネス書でこんな経験をするのは
珍しい。
しかし、全身全霊を投入して、
脱稿したときは「抜け殻」のように
なったという岩崎さんの、静かなる
心の叫びを確かに受け取った、
そんな心持ちだ。

実は帯にもしれっと書いてあるのだが、
「なぜ『もしドラ』は売れたのか?」
という質問への答えを、あえて一言で
表すなら、「執念」
だという。

ご自身の人生で受け取ってきた
様々な知識や知恵を、
経験してきたエピソードを、
考え抜いてきたネタを、
惜しみなく全力で投入しきった。
そうした人生の「結晶」の
一つひとつを散りばめて、
何としてもこの『もしドラ』を
素晴らしい作品にしようという
「執念」があったからこそ、
様々な売れた要因の全てが
有機的につながって、
比類なき結果を生み出したのだ。

自分自身のライフワークを
何としても実現する、
そんな強い「執念」を
果たして持っているだろうか?
そう自問するきっかけをくれる
素晴らしい書籍である。
一読を勧めたい。



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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。