おおきなカ ブ
今日で3月も終わり。
あっという間の3か月間。
新型コロナウィルスのお陰で、
すべてが変わりつつある。
在宅勤務が一気に働き方の主流を
獲得する勢い。
飲食店は軒並み極めて厳しい環境に
さらされている。
誰がこれを正月の時点で予想できた
だろうか・・・?
しかし、起こったことをとやかく
言っても無意味。
粛々とやるべきことをやる。
そうすれば、いざ落ち着いたときに、
飛躍が待っているはずである。
正月というと、いつも色々な楽しみが
あるが、新聞広告をながめるのが
ひそかな楽しみの一つだったりする。
日本を代表する大手企業やブランドが、
かなり気合の入った形で、メッセージ、
クリエイティブをぶつけてくるからだ。
「一年の計は元旦にあり」
とばかりに、企業の大きな方針や
ブランドにかける思い、
商品の広告ではなくて、
あくまでも企業そのもの、
ブランドそのものから発せられる
メッセージが、
競うように出稿されているのだ。
未だに新聞を購読しているなんて、
時代錯誤と思われる向きもある
かもしれない。
何でもネットで済む昨今、
確かに新聞がなくても困らない。
それでも購読し続けているのは、
ネットだけに依存するのが何となく
怖いから。
知らず知らずのうちに、自分がアクセス
する記事の趣味嗜好が反映されて、
自分が目にするコンテンツが
「最適化」され、
心地のよい言説しか入ってこなくなる、
そんな恐怖を時折感じるのである。
必ずしも毎日は読んでいない新聞、
今日はたまたま在宅なので、
パラパラと目を通していたところ、
面白い広告に行き着いた。
パナソニックが、『おおきなカブ』を
モチーフに、自社で開発したと思われる
「パワードウェア」を紹介している。
正直なところ、これを見て思ったのは、
「一本取られた!」
あるいは
「座布団1枚!」
である。
きっと日本国民の大多数、少なくとも
新聞購読層の大多数が知っているで
あろう『おおきなカブ』をモチーフに、
ストーリーの中ではみんなで力を
合わせてやっと抜けたはずのカブを、
おじいさんが軽々と持ち上げている。
「おおきな力(ちから)」を与えて
くれる「パワードウェア」が、それを
可能にしているということを、
見事なまでに簡潔に、パッと見て
誰もが理解できるよう表現している。
高齢者に希望を与えてくれるような
内容を、このタイミングで出稿する
という点も、パナソニックさすが!
と言いたくなるではないか。
業績が今一つ安定せず、株価も決して
好調とは言えないパナソニックだが、
広告宣伝のうまさ、表現の卓越性には
いつも注目しており、今回もまた
よい勉強をさせてもらった。
自分はクリエーターではないので、
直接こういった広告を作る立場には
ないが、こんなステキな作品を
クリエーターに提案してもらえる
ようなブリーフィング(広告制作上
の要件をまとめて依頼すること)が
できるよう、日々精進である。