縁尋機妙、多逢勝因
街中で、突如「だし」の自動販売機に
出会ったことはあるだろうか?
自動販売機と言えば、通常は飲料を
売っている。
他には、たまにグリコのセブンティーン
アイスを見かける程度だ。
いきなり「だし」を売っているのを
見て、一体誰が買うのだろう?と
最初に見たときは大層驚いた。
展開しているのは、「だし道楽」という
ブランドを展開する、瀬戸内の企業、
「二反田醤油」さん。
旧海軍兵学校のあった広島の江田島に
ある小さな醤油屋さんのようだ。
関西、九州でよりメジャーな「あご」、
つまりトビウオを使っただしを、
万能調味料として全国展開している。
なぜ自動販売機を使った販売をしている
のか、彼らのサイトからは
「皆様の声にお応えして」
としか書いておらず、経営戦略上の
具体的な意図まではうかがい知ることが
できなかった。
自動販売機の設置場所を見ると、主に
コインパーキングやコインランドリーの
脇にある場合が多そうだ。
都道府県的には、懐かしの太平洋ベルト
地帯に沿って置かれているほか、北海道
と宮城、沖縄にも展開。
サプライチェーンを効率化する観点から、
ある程度ドミナント的な出店の仕方を
しているかというと、そうでもなさそう。
という具合に、結局のところ謎の多い
ままなのだが、中に焼きあごをまるまる
放り込んだペットボトル入りの「だし」
を、自動販売機で売ってしまうという
ある種「異例づくし」の商品は、非常に
大きなインパクトを与えてくれる。
だしと言えば、「茅乃舎」(かやのや)が
私には真っ先に思い浮かぶ。
こちらも「あご」だしベース。
瀬戸内にも面している福岡県、糟屋郡に
本社を構える「久原本家」が展開する
ブランドである。
関東でも、デパートを中心にいくつか
店舗を構えている。
ここのだしが、本当に美味い。
私のような料理下手でも、お味噌汁の味が
グンとよくなる。
一度その違いに感動して以降、すっかり
ファンになってしまった。
そんな久原本家の社長さんの苦労話を、
ちょっと古い記事であるが発見して
読んでいた。
曽祖父が始めた醤油の製造販売。
それが行き詰まったところで、
どうやって道を切り開いてきたのか。
それを端的に表した四字熟語が、
「多逢勝因」
だという。
原典は『地蔵(菩薩)本願経』という
経典にあり、
「縁は縁を呼び、言うに言われぬもの」
という意味の「縁尋機妙」に続く形で、
「多くの人と出会い交わることが、物事をいい結果へ導く」
との意味で出て来る言葉だとのこと。
河邉社長が若い頃、父親に無理に入らさ
れたJC(日本青年会議所)に出入りして、
ご縁を紡いでいたことが、後に大きな
機会となったのだ。
今は大成功を遂げている茅乃舎も、
当初は苦労の連続。
良いものだけにこだわっていたので、
コストがかさみ、利益が出るように
なるまでは相当な我慢を強いられた。
何とか通販に活路を見い出して、
長年かけてなんとか黒字化。
機の熟したところで、博多の老舗百貨店
当主とのJCでの「ご縁」が活きる形で、
1年間緩い条件にてその百貨店に置いて
もらえた。
これが、「信用」として絶大な威力を
発揮し、成功へとつながったのだという。
やはり、人と人とのご縁というのは、
いつどう展開していくか分からず、
非常に奥深い、味わい深いものがある。
コロナ禍の状況にあって、物理的には
引きこもり状態だったとしても、
実際にはZoomなどのツールを使い
倒して、様々なご縁を紡ぐ機会が
むしろ拡大した1年だった2020年。
ご縁がご縁を呼び、展開が加速していく
素晴らしさをも感じることができた
ように思うこの1年。
これらの素晴らしいご縁を、
「多逢勝因」よろしく、来年以降に
活かしていきたい。
ちなみに、今日で1月1日から始めた
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