パッケージのデコレーションをウリにする
9月も終わりに近づき、すっかり季節は
秋という感じだ。
あの湿気もどこへやら。
これから冬に向けて、乾燥が気になる
タイミング。
乾燥から肌を守る保湿クリーム。
定番中の定番と言えば、NIVEAの青い
缶に入ったクリーム。
ドイツ、バイヤスドルフ社が100年以上
も前から製造販売しており、日本では
花王との合弁会社であるニベア花王が
取り扱っている商品である。
写真は、ニベア花王のウェブサイト
から拝借したもの。
最初だけカラフルなパッケージだった
時期があるが、1925年以降は一貫して
濃いめのブルーに白い文字。
保湿クリームの代名詞的な存在として
長きにわたりこのパッケージが存在感
を放っている。
そんなニベアクリームが、今年の6月に
実施していた販促が興味深い。
アイコンになっているこの青い缶を
デコレーションしよう!という趣旨
の呼びかけだ。
恐らくは、新型コロナでステイホームな
世の中の状況を踏まえ、「おまもり」
になるデコ缶を作ってみませんか?
という提案をしている。
更に、6月9日から19日のわずか11日間
のみ「フォーチュンデコ缶」セットを
2500名様にプレゼントするという
キャンペーンを併せて実施していた。
この「フォーチュンデコ缶」は、昨年
既に実施されていたキャンペーンで、
「minneとものづくりと」という
メディアとのコラボレーション。
プロアマ問わず、多くのクラフト作家
さんが参加し、受賞されたのだろう、
見ているだけで楽しいデコレーションの
数々を拝むことができる。
この事例のように、商品そのものでは
なく、パッケージをネタにした販促を
打つのは、余程定番として実績のある
ブランドでないと難しい。
逆に言えば、定番としては手堅く商売
しているのだけれど、なかなかドカン
と伸びることがないというブランドに
とっては、パッケージを一つの切り口
として仕掛けてみるのは大いに可能性
アリ、という解釈もできる。
誰もが「ニベアだ!」と分かる、
青くて丸い缶と、白い文字。
シンプルながら愛着のあるパッケージ
だからこそ、デコレーションする甲斐
もあるというもの。
これが、ポッと出の新米ブランドだと
なると、そもそもお客様の側にデコ
してみようという愛情が湧きにくい。
それに、ベースとなる商品パッケージ
のイメージが世間に共有されていない
状態だと、デコってみたところで、
意外性とか驚き、共感というものを
持たれにくいだろう。
この手の定番商品は、黙っていても
ある程度売れる。
しかし、定番として確立していると
いうことは、ファンとなっている
お客様が相応にいるということ。
そしてそれは、より多くの潜在的な
ファンがまだ眠っている可能性が
高いということ。
ブランドが持つパーパス(目的)を
実現するために、より多くのお客様に
商品をお届けする必要があるならば、
こうやってあの手この手で切り口を
変え、新たなファンを創造していく
ことが重要だ。
そんなことを、ニベアの販促を見て
感じたのだった。