OMOで進化したGlossier(グロシエ)
以前、私がまだ前職の化粧品会社にいた頃、
アメリカで急激にファンを増やしていた
Glossier(グロシエ)のことがよく話題に
なっていたので、このnoteにも書かせて
もらったことがあります。
最近、このブランドの名前を久々に小耳に
挟んだので、興味本位で少しばかり調べて
みました。
Glossierは、その創業の理念が、
当初からかなり注目を浴びていたと
記憶しています。
等身大のモデルを使って、
言い換えると、スーパーモデルなどの
「つくられた」モデルはあえて使わずに、
リアルな、そのままの美しさを表現する
ところが、今の時代にマッチしたとの
評価がされていました。
コロナ禍の最中も、その躍進はとどまる
ところを知らなかったようですね。
コロナ前の2019年、Glossierの売上高は
1億ドルを突破していたところ、
2024年は既にその2倍以上を記録したと
言われているのです。
その好調な業績を牽引している一つの
要因として挙げられるのが、いわゆる
OMO(Online Merges Offline)戦略。
オンラインとオフラインを統合した、
革新的な顧客体験が、業績を大きく
伸ばした要因となっている様子。
元々、ソーシャルメディアでの口コミや
インフルエンサーとのコラボレーションを
活用したオンラインマーケティングに
強みを持っていましたが、OMO戦略の
有効活用で顧客との関係を更に深めたと
いうのです。
具体的な例としてまず挙げたいのは、
ニューヨークとロサンゼルスに開設した
実店舗。
従来のコスメショップとは異なる
体験型のスペースを提供し、
店舗で製品を試すだけでなく、
ブランドの世界観を実感することができる
環境を作り上げました。
このスペースでは、試すことはできても、
その場でオフライン購買をすることは
できません。
オンライン購買をサポートするための
場所として役割分担を徹底させました。
今ではこれを更にもう一歩進めて、
店頭でオンライン購買すると、
在庫があればすぐに店舗併設の受取
カウンターで商品をもらって帰れる
ように進化したのです。
顧客体験の進化が見事に表れている
事例ではないでしょうか。
次に、オンラインで収集したユーザー
データをもとに、リアルタイムで
店舗の品揃えを調整する体制を整え、
顧客のニーズに即座に応えることに
成功しています。
特に、オンラインストアで人気のアイテムや
色のデータを活用し、店舗を訪れる顧客に
とって最適な選択肢を提供することができる
ようになったとのこと。
更に、店舗での体験をSNSでシェアできる
仕掛けを整えました。
Instagramに最適化されたフォトスポットを
設置したり、製品を使う瞬間を撮影するための
キットがディスプレイされていたり、
更にはメイクアップアーティストによる即席の
メイクオフセッションが行われていたり、
とにかく顧客が写真を撮ってSNSにアップ
しないではいられない仕掛けが盛り沢山
なのです。
このような仕掛けより、顧客が自発的に
自分の体験を発信するようになり、結果として
いわゆるユーザー生成コンテンツ(UGC)の
活用に成功したと評価されているのですね。
未だ日本でビジネスを始めていないGlossier
ですが、近々「黒船」としてやって来るの
でしょうか。
楽しみに待ちたいと思います。