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【ルビサファ初見プレイその3】102番道路の追懐

前回のあらすじ
アゲハントのどくばりで体力を赤ゾーンまで減らすことに成功したが、モンスターボールから出てしまうレアポケモン、ラルトス。
これを逃すとまた延々と草むらを歩き回らなければならない。

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どくばりの威力は半分になった残り体力の更に3分の1程度。
それを2回放っているのでラルトスの残り体力はどくばり1回分あるかないか。
手持ちのポケモンでどくばり以下の威力の技はない。
状態異常を持っているポケモンもいない。

つまりこの最後のどくばりに賭けるしかない。
ラルトスの体力が残ると信じてどくばりを放つ。それしかない。

アゲハントがどくばりを放つ。
残ってくれと祈りつつラルトスの体力ゲージを凝視する。
ここで祈りが通じたのか、ラルトスの体力がギリギリ残ったのである。

この気を逃す手はないとモンスターボールに手を伸ばす。今ならいける、絶対に。

と、ここでラルトスが状態異常になってしまう。状態は「どく」。
一番望まないタイミングでアゲハントのどくばりの効果が出てしまった。
どくの状態は1ターンごとに体力を一定数削ることを意味する。
同時にアゲハントもどくになる。
ん?なぜアゲハントも?
疑問に思う間もなくラルトスはどくのダメージを受ける。
ギリギリ残ったその最後体力を有無を言わさずゼロにする。
鳴き声とともにラルトスの姿が下から消えていく。

捕獲失敗。
どくになったアゲハントを残し、ラルトスはまたもや姿を消したのだった。

ラルトスを探し歩く最中、ハスボーが「しぜんのちから」を覚えた。場所によって色んな技を繰り出すという技だ。
何度か試してみるとここでは「しびれごな」になるらしい。
これは使える。

どんどん成長していくハスボー。
これはハスボーではなくもうハスアニキだ。そのくらいたくましくなった気がする。
顔はまだとぼけているけど、その背中は兄貴の風格を感じた。

何度目かのレベルアップの後ハスボーは進化のときを迎えた。
文字通りハスアニキになっちまった瞬間だった。
鳴き声が「しゃオラァ!」にしか聞こえず、出現する野生のポケモンに絶えず啖呵を切っている。

名前をハスブレロというらしい。
進化前から何倍も大きくなった体は緑に変化し、黄色かったクチバシは赤に、赤い爪も生え、顔はそっぽを向いている。
どういうことだ、あの可愛かった坊やがどうしてこんな…。

ハスブレロはすいとる攻撃により一撃で野生のポケモンを次々と己が養分に変えていく。
断末魔とともに養分を搾り取られていくジグザグマやポチエナ。これは金銭を巻き上げるヤクザの所業なのではないか。

図鑑の説明にはこうある。
「身体中ヌルヌルした粘液で覆われ、その手で触られるととても気持ち悪い。人間の子供とよく間違えられる」
どういうことだ、どうして…。

ハスボー坊やの思わぬ変貌に動揺していると、ラルトスが出現した。
啖呵を切る兄貴。やっちゃってくだせえ兄貴。
ハスブレロは「しぜんのちから」を放つ。

ふと、思う。
しぜんのちからは今までしびれごなになってきたが、突然かえんほうしゃとかにはならんよな。
ハスブレロは散々ほかのポケモンから養分を搾り取ってきたヤクザもんであるから有り得なくは無い。
しぜんのちからを使った瞬間ラルトスが炎で焼き尽くされその場に倒れる映像が脳裏に浮かぶ。
かえんほうしゃに、ならんよな。

少し躊躇った後、Aボタンを押す。
頼む!しびれごなになれ!
しぜんのちからはしびれごなになった!
ハスブレロのしびれごな!

やってくれた…ハスブレロ兄貴…。

先のアゲハントの件によると、ラルトスはどうやら自分の状態異常を相手にも与える効果があるらしい。
兄貴もまひしてしまうがしょうがない。
今まで散々養分を搾り上げてきたのだからこのくらいは受けてしかるべきである
ありがとう兄貴!よくやった兄貴!

アゲハントに交代する。
ラルトスはまひしているから確実にどくにはならないはずだ。先程のようなことにはならない。

どくばりで赤ゾーンまで削る。
しかしラルトスはなきごえしかしてこない。
そういうポケモンなのか。ますます可愛いじゃないか。
どこかの養分搾り上げ兄貴とは違う。儚さがある。

モンスターボールを手に取ったとき、思わぬことに気がついた。

モンスターボールが、ひとつしかない。

私が持っていたモンスターボールは心優しいライバルから恵んでいただいたものだった。
その数5つ。
ケムッソを捕まえハスボーを捕まえ、残り3つのうち、ラルトスに2つ使い結局失敗した。
これが最後の1つだったのだ。

これで捕まるのか…?

思い返せばこのタイミングでハスボーがしぜんのちからを覚えたのは運命的だった。
この場所では、しぜんのちからはしびれごなになり、ラルトスの体の自由を奪うことに成功した。
事前にアゲハントのどくばりの威力を知っていたことも大きい。
倒すことなく確実に体力を削れる確信があった。

やれる事はやったはずだ。
この1つに全てを託す。

捕まれ、ラルトス。

ボールが弧を描く。
長くて短い圧縮された3秒間の後、あっさりとその時は訪れた。

「やった!ラルトスを つかまえたぞ!」


技術とともにゲームはますます進化していくし、私を驚かせてくれる。
それでも小さな頃に感じたワクワクや感動は、もう感じることは少なくなっていたように思う。
102番道路の先にある街の湖が、私と空を映している。
きっとあの頃からそこにある空を見ながら、あの頃と変わらない気持ちを映してくれたポケットモンスターというゲームに、小さく礼をした。


次回に続きます。

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