【映画】こわれゆく女

「こわれゆく女」をもっと壊してどうする！
この映画を観た第一印象です。

ニックはもっとお気楽であるべきだった。メイベルのダンスや歌に乗っかっていく様なチャーミングさがあっても良かった、そんな印象です。ニックは昔気質な性格ですが、決してメイベルを見捨てたりはしない、真面目な人物です。いや、ニック以外もみんな真面目ちゃんです。メイベルと一緒になって楽しんでいるのは子供たちだけです。難しい顔してカッカカッカしている大人たちが異常に見えます。

不安定なメイベルを演じるジーナ・ローランズは演技の神髄に触れているかの様でした。声色から表情、体の使い方まで嫌味なく演じています。またニック役のピーター・フォークも鬼気迫る演技が良い。彼の切羽詰まった表情、薄ら笑いで余裕の無さが伝わります。途中、ニックへの不自然なアップがあり、ニックの「ヤバさ」が伝わる表情が画面いっぱいになります。ここら辺のあえて乱雑な画面構図が登場人物の不安定な性格を表している様にも思えます。
パパッと切り替わるエンタメ映画に慣れているためかこの様な長尺カットの作品は間延びしている様に思われました。観終わった時は「終わっちゃったよ...」て感じです。でも、これが良いのかもしれません。物語は続いていくのですね。

★★★
（最大★5)