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必要なのは1冊のノートだけ。挫折なしで続けられる手帳の書き方『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』
市販の手帳を買ったはいいものの、結局途中でやめてしまった…。長続きしなかった…。そんな苦い経験を持つ人は多いと思います。
実際、僕も毎年12月に高橋書店や能率協会の手帳を買っては挫折することを繰り返してきました。
もっと気軽にできて、挫折しにくい手帳術はないだろうか?そう考えていたときに出会ったのが「バレットジャーナル」です。
今回は『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』を読んだ感想を紹介しつつ、バレットジャーナルの魅力・欠点について正直にお話ししたいと思います。
【超入門】バレットジャーナルの使い方
まずはバレットジャーナルについて簡単に説明していきたいと思います。
バレットジャーナルというのは、自分の好きなノートを1冊用意して、一定のルールに従ってスケジュール管理をしたりTODOリストを作ったりするノート術です。
ひとことでいえば「用途・目的に合わせて自由にカスタマイズできるノート」です。
バレットジャーナルにはいろいろなテンプレートがありますが、”核”となるのはタスクを箇条書きで書き出すことです。
メモの先頭に、以下の記号を書いてタスクを分類します。
【・】なんらかの行動を起こす必要がある用件
【×】完了したタスク
【>】移動したタスク
【<】予定に入れたタスク
【◯】イベント
【ー】メモ
こんな感じで、やるべきことやメモなどをリストにして、それに対して記号を付けることでタスクを区別するというのがバレットジャーナルの基本です。
ちょっとむずかしく感じるかもしれませんが、実際はすごく簡単です。
ようするに【・】でタスクを書いて、それに対するアクションを記入するだけです。よくあるToDoリストの応用版と考えればわかりやすいと思います。
これらの記入は基本的にデイリーページ(毎日書くページ)で行います。
なお、本書はバレットジャーナルの考案者であるライダー・キャロル氏が書いた、いわば「バレットジャーナルの完全版」とも言える本です。
本の中では【マンスリーログ】【フューチャーログ】【習慣トラッカー】といった使い方も解説されているので、そのボリュームに圧倒されるかもしれません。
とはいえ、あくまでも「自分に必要な機能だけをノートに組み込めばOK」というスタンスなので、最小限の機能で始めれば誰でも簡単に書くことができるはずです。
ひとまず、バレットジャーナルは「記号を使ってタスクを管理するノート術」ということが理解できれば問題ありません。
こんなにもある、バレットジャーナルのメリット
・ノート1冊で始められる気軽さ
・自分に必要な機能を自由にカスタマイズできる
(市販の手帳の「型」にハマらなくていい)
・書かない日(空白ページ)があっても罪悪感がない
・1日に書く分量が自由に決められる
・手で書くことで思考力が高まる。精神の治癒効果がある
・自分の過去を参照できる「資料」になる
僕がこの本を読んで、そして実際にバレットジャーナルを使ってきて思ったメリットはこんな感じです。
もうかれこれ1年以上もバレットジャーナルで手帳を書いているんですが、完全に僕に合っていたようで、こんなにノートが続いたのは人生で初めてです。
すべての人に手放しでおすすめできるノート術ではありません。ただ、ここで挙げたメリットに少しでも魅力を感じたのであれば、試してみる価値は十分にあると思います。
なんせ、ノートが1冊あれば始められるわけですからね。始めるコスト・ハードルは非常に低いです。すでに持っているノートで、途中のページから始めて見るのも全然OKだと思います。
というわけで、ここからはそれぞれのメリットについて深堀りしていきます。
ノート1冊で始められる気軽さ
ここまで説明したとおり、バレットジャーナルはノートの種類を選びません。
サイズだってA4でもA5でも、文庫サイズでも何でもOK。ノートの線も罫線、方眼、ドット、無地など自由に選べます。もちろん、iPadなどでノートアプリを使うこともできます。システム手帳で作るのも良さそうですね。
とにかく、自分が使いやすいもの、愛着が持てるものを選べばOKです。
感覚的にバレットジャーナルは方眼ノートで作っている人が多い気がします。僕は図やイラストをほとんど書かず、文字中心のノートなので横罫ノート派です。
市販手帳の「型」にハマる必要がない
手帳にこだわりがある人ほど、市販の手帳に納得できないことが多いと思います。
「ここのスペースがもう少し広ければなぁ」「時間軸が24時間あればよかったのに」「フリースペースはこんなになくてもいいかな」などなど、市販の手帳では完全に満足できない場合があります。
バレットジャーナルは、自分が欲しい機能をカスタマイズして使うので、自分好みに作ることができます。
いらない機能は削ぎ落とし、必要な機能は洗練させる。これは、「型」がばっちり決まった市販の手帳ではできないことです。
なかなか市販の手帳では満足できなかった人こそ、バレットジャーナルを試す価値はあると思います。
書かない日(空白ページ)があっても罪悪感がない
「書かない日が何日も続いて、空白のページができてしまった」
これは、手帳あるあるのTOP3に入るのではないでしょうか。
かくいう僕も、空白ページに心が折れて手帳をやめた経験が何度もあります。手帳を始めたてのころは書くのが楽しいのですが、いつの日か書かなくなって、空白が生まれて…。
なぜ空白ページに嫌気がさすのか?空白ページを目の当たりにすると、自分の怠惰さや続ける力のなさ見せつけられる感じがするからだと僕は思っています。
手帳なので当然といえば当然なのですが、市販の手帳は日にちのマスがしっかり決められているので、期間が空いてしまうとその空白の日にちを埋めることはできません。
週間タイプならまだいいのですが、1日1ページタイプ(例えば、ほぼ日手帳)だと絶望的な気持ちになります。1週間でも書かない期間があろうものなら、空白がめちゃくちゃ目立ってしまいますからね。
「空いちゃったんならしょうがない」と割り切れればいいのですが、多くの人はページにびっしりと文字が書かれたノートに恍惚とすると思うので、空白ページが許せないはず(僕は完全にそっち派です)。
しかし、バレットジャーナルは空白を気にする必要がありません。というより、そもそも空白ページが生まれません。書くたびに新しいページを使うことになるので、たとえ書かない日があったとしても空白にはならないからです。
僕はノートを書くモチベーションに波があるタイプでして、1ヶ月くらい書かないときもあります。有り体にいえば、サボってしまうということです。
それでもバレットジャーナルを続けられているのは、1ヶ月ぶりにノートを開いても新鮮な気持ちでスタートできるからだと思います。バレットジャーナルは、サボりがちな人間に優しいシステムなのです。
挫折の要因でもある「空白ページ」が生まれないというのは、もしかしたらバレットジャーナルの最大の強みと言えるかもしれません。
1日に書く分量が自由に決められる
1日として同じ日がないように、ノートに書く内容や分量も日によって変動するはずです。
大きなイベントがあった日や人生の節目となるような日は、きっとノートに書くことも多くなるでしょう。反対に「書くことがなくてヤバい」という日も少なからずあるはずです。
バレットジャーナルは1日に書ける分量が決まってないので、その日の「書きたい量」に応じてページ数を増減させることができます。
僕は過去にほぼ日手帳を使ったこともあるのですが、ページがきれいに埋まることはほとんどありませんでした。逆に「たくさん書きたい!」という日には、1ページでは入り切らずモヤモヤした経験があります。
という感じで、1日に書けるスペースが決まっている手帳だと、そのスペースに自分が合わせないといけません。
場合によっては「ページを埋めたいから、頑張って書く」みたいなこともあるかもしれません。
バレットジャーナルであれば、たくさん書く日もほとんど書かない日も、分量を気にする必要がありません。書きたい日は5ページ分書いたっていいし、書く気が起きない日は1行だけでも良いわけです。
余談ですが、僕は英語の勉強もスケジュール管理もすべて1冊のノートに集約しています。市販の手帳だとこんなことできませんが、バレットジャーナルなら勉強ノートも一緒にすることができるわけです。
「この1冊にすべてが詰まっている」というのは、なんとも心地の良い感覚があります。
ノート本位ではなく、自分本位で書く量を決められる。この自由を味わうと、ますますバレットジャーナルに魅了されると思います。
手書きで思考力が高まる。精神の治癒効果がある
手で文字を書くことにはさまざまなメリットがあります。たとえば、思考力の高まり、精神の治癒効果がその例です。
本の中でも、そのことについてしっかり言及されています。
なぜ、自分の言葉で書き留めるのがそれほど重要なのだろう?手で文字を書くと、その情報との関わり方が強化され、連想する力が高まることが、科学的にも証明されている。
「日記をつける」という行為は、トラウマや精神疾患に苦しむ人に対して治療効果のある強力なツールとなることが証明されている。
市販の手帳でテンプレートに沿って書くのはたしかに便利ですし、メリットもあります。
しかし、どちらが「自分で考える力」をより必要とするか?と問われれば、やはりバレットジャーナルに軍配が上がるでしょう。
バレットジャーナルは市販の手帳に比べて、手で文字を書く時間が増えます。そして、自分で能動的にタスクを書くことが求められるので、考える時間も必然的に増えます。
僕の場合、寝る前にノートを見ながら1日の振り返りを行います。そして、次の日のタスクも書き込んでいくのですが、そのときに「ここはどうすればもっと効率化できるか?」ということをすごく考えるんですよね。
このように、ゆっくりと物事を考える自分だけの時間が1日のなかで確保できるのも、バレットジャーナルの利点と言えるかもしれません。
自分の過去を参照できる「資料」になる
ノートというのは「振り返ってなんぼ」のものだと思っています。もっといえば、ノートは読み返さないと意味がありません。
じつは、そう思わされたのもバレットジャーナルを使い始めてからです。
過去のノートが役に立つということをちゃんと認識したのは、本書の以下の文を読んだ瞬間でした。
人生の記録をつけることで、僕たちは将来、参照できる資料をつくっているのだ。自分の選択と行動が記された資料の宝庫を。そこには自分が犯したミスも記されているから、過ちから学ぶこともできる。
この文を読んですごくハッとさせられたのを今でも鮮明に覚えています。これまでは漫然とノートをとって、ろくに読み返すこともしてきませんでした。
しかし、「僕たちは将来、参照できる資料をつくっているのだ」という言葉を読んで、ノートを書く意味について深い洞察を得られた気がしています。
調子が良かった過去の自分を、いまに生かす
僕がバレットジャーナルを始めてからまだ1年程度しか経っていませんが、現在は2冊目のノートに突入しています。1冊目のノートは大事に取ってあるのですが、このノートが意外と役に立つんです。
というのも、過去のノートには「あのとき、自分は何をして、何を考えていたのか?」という記録が残っているからです。
僕の場合、仕事の調子がいい日も悪い日もありのままノートに記録するようにしているのですが、その記録があとになって活きてきます。
どういうことかというと「最近、仕事に集中できないな」という日が続いて悩んでいるとき、過去のノートを振り返れば【調子が良かったときの自分は何をしていたか?】がすぐにわかるということです。
正直いうと以前までは「過去の自分に会うみたいな感じ、しゃらくさいなぁ」と思っていました。しかし、いざ過去のノートが持つ有用性を痛感すると「しゃらくさいとかいってゴメンナサイ」という言葉しか出てきません。
「映えるノート」にする必要はない
バレットジャーナルというと「色ペンやイラストを多彩に使ったオシャレなノート」みたいなイメージが強いかもしれません。
実際、Instagramなどで検索すると、それはそれは「映えるノート」がたくさん出てきます。
そういうノートを目の当たりにすると「うわー、自分には絶対できないわ…」と思って、バレットジャーナルに手を出さない人もいるはずです。
でも、ここまでの説明を見てもらえばわかるように【バレットジャーナル=映えるノート】というわけではありません。記号などを使って、自由なノートを作るのがバレットジャーナルの本質です。
僕の場合、そういう映えるノートを見て「こんな風に作れたらいいなぁ」とは思いますが、自分には向いてないので割り切っています。
画像検索で意気消沈してバレットジャーナルをあきらめるのは非常にもったいないので、そういった映えるノートには惑わされないようにしましょう。
作るのが面倒に感じる人は最小限で
ここからはバレットジャーナルの負の側面、そして本書のデメリットについて触れていきたいと思います。
まずこの本についてですが、冗長なところがあります。悪くいえば「話が長い」ということです。
バレットジャーナルの使い方や解説については非常にわかりやすく書かれているのですが、それに付随する自己啓発的な話が多いので、バレットジャーナルの本線から離れることが多々あります。
もちろん、それらの話も含蓄のある内容なのですが「純粋にバレットジャーナルの使い方だけを知りたい」という人には、本が少し長く感じるかもしれません。
完璧を目指さないほうが良いです
ここではくわしく紹介していませんが、この本はバレットジャーナルの使い方を完全網羅しているので、そのぶんボリュームが多いです。
たとえば、マンスリーログ(自分で月間カレンダーを書いて作る)といったものを、毎月ノートに組み込もうとすると、それなりの作業量になると思います。
そういうのが好きな人はいいですが、書くのが得意ではない人には負担になるはずです。
ですので、僕としては最初のうちはデイリーログ(最初に紹介した、記号を使ったタスクリスト)だけにしておいて、慣れてきたら他のシステムを組み込むのが良いと思います。
バレットジャーナル自体は素晴らしい仕組みだと思いますが、すべてやるのはハードルが高いです。なので、初めのうちは完璧を目指さずに、ラクにできるところから手をつけましょう。