
夏にしたいこと
夏にしたいことを、前回書いた。本をいっぱい読みたいな、と。
ただ、何であれ「一つ」と決めるのはよろしくない。それが不調になったら立ちどころに総崩れになってしまうから。
だから、他に、「夏にしたいこと――」と考える。
やはり旅行である。
以前はよく行っていた、一人で。もっぱら国内旅行である。
たいして行った先での予定は決めずに、適当にそのとき見つけたおもしろそうなものを目指してみる感じ。
それが何とも言えないおもしろさがあった。たとえば、「埋没林博物館」なんて、そんな構えでないときっと行かなかっただろう(めちゃくちゃ楽しかった)。または、その後はそれを目がけて遠征したこともある「渋谷らくご」。
30代も半ばになってまだそんなことをしていて良いのだろうか、とも思うが、「この先の人生で、今が一番若い」と思えば強くなれそうだ。
折しも先日、友人が「一泊でふらっとレンタカーの旅行をしないか」と誘ってくれた。二つ返事でOK。
別段「一人旅」にこだわりがあるわけでもないのだ。今度、その計画を立てる。ちょっと、夏が盛り上がってきた気がする。
夏にしたいこと、他は何があるだろう。
先週、祖父母の家を訪ねた。どちらも90を超えて、二人で仲良く暮らしているのだから奇跡みたいな話だ。
おじいちゃんは足がずいぶん弱ってしまったようで、もうほとんど動かない。いつも居間の定位置に座って、「おう」とゆっくり手を挙げてくれる。
おばあちゃんはとにかく元気。「もうあかんわ」と、けらけら笑っていつも言う。「もうあと2年も生きられたらいいわ」と、何度聞いたか分からない。
どちらもよく食べ、体はとても健康なのだという。おばあちゃんの元気なことが太陽のようらしく、「あんたが元気でおってくれるから助かる」と二人だけの時間で、そんな会話があったと聞いた。純愛だった。
会えたのは正月ぶり。自宅にいるし、いつも元気なものだから油断しそうになるが、それでもさすがに「今回が最後、もありうるから」と過ぎる。
時間の取れやすい夏ならば会いに行ける。実家からは、車で30分だ。運転はずいぶん疎遠になってしまっていたが、ちょうど先週訪ねたのは久々の車。そんなに悪くない運転だったと思う。これで交通手段のハードルも下がった。
見つけようと思えば、夏にしたいこと、もっと見つかると思う。
でも、少しずつでいいのだ。
相変わらずハードモードな日々は収まりそうにないわけで、自分の機嫌は自分で取りながら、自分の人生に自分で光を当てるようにして乗り越えていきたい。
ひとまずあとちょっと、がんばります。いやがんばりません、がんばります。