終わりにしよう。何かに怯えながら過ごすのは。
『一喜一憂』
これほどまでに人生を表す上で適切な言葉ってないと思う。
これまで、自分の人生でいろんなことを経験してきた。別に、そんなのは40年も生きてりゃ当たり前のこと。と言っても、何か大きな成果をあげたとか、充実しているっていう実感はあまりない。
記憶に残っていることと言えば数年に渡る株式投資で損失をこいたとか、親と剃りが合わずに訣別したとか、どちらかというとネガティブなことばかり。
株式投資をしている時、毎日ニュースの「日経平均株価」を目にした。朝、仕事に行く前の時間にやっている投資情報番組を見て出勤するのが日課だった。
日経平均株価が大きく動いた時、特に大きく下落した時にはよく財務大臣が質問を受ける映像が流れる。
そこでお約束のあの言葉。
「一喜一憂しない」
あの一連のくだり、何回聞いたことだろう。最近はテレビ自体も見なくなったけど、きっと同じやりとりを繰り返しやっているんだろうな。もはやお家芸だね。
人生において、一喜一憂しない時なんてない。人間なら誰もがそうでしょ?
喜んだり落ち込んだりの繰り返し。
ぼくのこれまでの人生はどちらかというと「一憂」の方が多い。
いや、ほとんどか。
さっきの投資の話もそうだけど、やり方はほとんどギャンブル。だけどその根底にあるのは「自分の人生を何とかしたい」の思いで必死だった。
結果は散々で、市場からはあえなく退場させられちゃったんだけどね。
だから投資でも「一喜」した記憶なんてほとんど残っていない。一喜したところでその直後にやってくるのは決まって一憂、二憂だから「喜」はなかったも同然だ。
根本的には、今の人生もあの時のぼくと大差ない。
何かに喜ぶことはあっても、落ち込んでしまう要因の方が多くあったりして、常に気持ちに余裕を持てないでいる。
そんな、何かに怯えながらの人生はぼくは嫌だ。
そもそも不安に駆られる原因は何だろう?
お金の不安
将来の自分の不安
将来の家族の不安
きっと、あげればキリがないくらいに不安は積もっていく。
人生に起きるかもしれない出来事なんて、いくらでも想像できてしまう。
だけどその想像の多くは予測とかではなくて漠然とした妄想だ。
不安とか、リスクとかっていうのはいうほどには起きることはない。
「何かに備える」ということは大事かもしれないね。
だけど、それが起きるかどうかは別の話。
『備えあれば憂いなし』
よく聞く言葉だけど、これまでぼくが散々に味わってきた「憂い」は備えさえあれば起きなかったことなのかな?
ぼくの人生に起きた「憂い」は備えることすら不可能だったことの方が多かったと思う。
大地震とか、天変地異に備えることはできる。命を救うための備えだ。
だけど、自分の人生に起きるか起きないかもわからないような漠然とした不安に備えることなんてできないよね。
できることと言えば、一つ一つの不安を一つ一つ丁寧に解消していくこと。
「不安だ不安だ」と嘆いているばかりでは不安は積み上がっていく一方だ。
結局のところ、リスク想定をしたところで、それに備えていて助かることもあれば無駄に終わることだってある。
それよりも、何か問題が起きたことに対して随時適切な対処をしていくことの方が大事。
不安がある時はどこかに問題があるということ。その問題をまずは見極める。「受け入れる」と言ってもいいかもしれない。
実際、不安の原因というのは自分でもわかっていることってあると思う。ただその事実を受け入れたくないだけ。受け入れるとまた自分が落ち込んでしまいそうだから。
人はいつでも憂いたくなんかないんだ。
でも思った。
不安が一生続くのと、不安を受け入れて一憂で済む人生ならどちらを選ぶかっていうと、ぼくは後者を選びたい。
人生は「一喜一憂」の連続。
「一憂」があればそのあとには「一喜」が訪れる。
「自分の人生は不安ばっかりだ」と嘆き続けるのも人生。
「不安を取り除いて楽しもう」と行動するのも人生。
どちらを選んだって、人生は結局進んでいく。自分が何もしなくたって、周りの環境はお構いなしに変化する。それ自体を憂いているだけでは、喜びが生まれることはない。
財務省のお偉いさんにお金の心配を訴えたところで、「一喜一憂しない」と言われてしまうのがオチだろう。
株式市場の相場と一緒で、何かに備えていたって起きてしまうことはあるんだし、深刻に考えていたってどうしようもないことだってある。
きっと、人生なんてそんなもん。
不安は妄想で膨らむけれど、その妄想は持っていたって仕方がないゴミ袋みたいなもの。45Lの大きな袋をいくつも抱えて歩き続けるのはしんどいよね。なにより、まったく意味がないよね。だって持ってるのはゴミなんだし。
今日は、燃えるゴミの回収日。
抱えたゴミ袋をゴミ置き場に持って行ったら、身軽になった喜びを噛み締めてみようかな。
じゃあ、またね。
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