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【コトバアソビ#2】 きのこ

ぼくら人間は、いつも何かの影響を他のだれかから受けている。

「オレは一人きりで生きているんだ」

と言ってみても、世界に人間は自分一人しかいない…なんていうことは絶対にないので、少なくとも誰かしらの人間と接したり、話したり、声を聞いたりしているはずだ。

そこまで言っても

「いや、私は絶対に一人きり。誰も私の領域には入って来れない」

という頑(かたく)なに一人を主張される方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれない。
ではぼくはそんなあなたに伝えたいことがある。

あなたは、一人きりで、絶対に誰からも影響を受けたことがない、なんてことは絶対にありえないよ。

なぜなら、あなたがこの記事を読んでいる時点で、ぼくがあなたに影響を与えているから。

ありがとう。ぼくの記事を読んでくれて。


人はどこかの誰かから何かの影響を受けて、心を変化させる。誰を見て、誰の言葉を聞き、誰から何を感じるかによってどんどんと心が変わっていくのだ。

関わった人によって姿かたちも変わる。どんなに自分を保っていようといたところで、何かしらの影響を受けてクニャクニャと変わるのだ。

もしかしたら見た目は変わっていないかもしれない。心とはつまり形のないもの。変わったかどうかは自分しかわからないか、自分をよく知る誰かにしかわからないかもしれない。

「変わること」は生きの物としてごく自然なこと。微生物だって変わる。ただし、変わる時には特徴があって、いい香りを漂わせる変わり方になるかもしれないし、もしかしたら毒を持つようなこともあるかもしれない。

生き物はすべて、命を守ろうとする。毒を持つことも、いい香りを漂わせることも、自分自身を守ったり、誰かに好かれるための変化。

影響を受けた誰かに寄り添うこともあるだろう。

ぼくは結婚をしている。きっとぼくは妻に何かの影響を受けた。ぼくの人生でとても大きな影響だろう。ぼくは妻と一緒になって、また変わっただろうか。

ぼくには中学一年生の娘がいる。子供は、ぼくが妻と一緒になったから生まれた。もしかしたら子供は、ぼくの変化した姿の一部なのかもしれない。


人が誰かと人生を共にした時、きっと変わる。

きのこは木の根や地中の動物の死骸などに宿って育つ。何に宿ったかよって姿も変われば、においや味も変わる。毒だって持つこともある。

その変化もやはり生存本能だろう。

どんな姿かたち、匂いや味をしても、みんなそれぞれに個性をもって生きている。

これまでに誰と関わって自分ができてきたのか。

これから誰と関わって自分が変わっていくのか。

ぼくらは、関わった人がみんな違うから、誰一人として同じ人間はいないのだろう。


じゃあ、またね。

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