【開園まであと420日】フィンランド教育の祭典Educa 2024(エデュカ)で教育を学ぶ!
こんにちは!2025年春、東京都港区にピッカス インターナショナルプリスクール(認可外保育施設)を開園する中川です。開園まであと420日の今は、さらに良いプリスクールを提供できるよう『子どもだけでなく、家族、教職員も心地よく学べる三方よしの環境』という園のコンセプトに沿った取り組みを世界各国の教育哲学から学び、ピッカスに取り入れたいものを集め続けています。
2024年1月末、とうとう長年の夢だったフィンランドでの教育視察を実現させることができ、たくさんの学びを得て無事に帰国しました!
フィンランド教育の特徴
人口が約550万人と少なく、人を資源と捉えてとても大切に考えているフィンランド。個人的にはフィンランド教育の最大の特徴は、「誰も取り残さない教育」を重視していること、「学ぶことの楽しさ」を大切にしていること、自治体や先生だけでなく生徒にも「最大限の裁量権を与えている」こと、そしてそれに伴って「先生の質を高める努力」をしていること、だと思っています。
シンプルなビジョンのおかげでそれぞれの学校や先生にもきちんと認識されていて、理解されやすくなっているように思います。そういえば日本の教育のビジョンってなんだったっけ。
フィンランド最大の教育の祭典へ参加しました
2024年の1月26日と27日の二日間、フィンランドの首都ヘルシンキで年に一回開催されるフィンランド最大の教育の祭典「Educa(エデュカ)」に参加してきました。フィンランド教育は、「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」で2000年代に突然上位に躍り出たことから、小さな国がなぜ?と世界中で高い注目を浴びるようになったそうです。私も数年ほど前に日本でフィンランド教育のセミナーにたまたま参加したことからその存在を知ったのですが、それ以来ずっと興味を持っていて今回念願のエデュカに現地参加できてとてもとても嬉しかったです!
Educa(エデュカ)は日本で言う幕張メッセで開催される見本市のような祭典なのですが、元々教職員のための研修プログラムとして始まった背景があり、開催中に行われるセミナーもフィンランドの教育大臣や北欧諸国の大学教授、OECDやUNESCO、UNICEFなどからパネリストが登壇していたりととても充実しているのが特徴です。
現在も現役の先生たちの研修の場として活用されているそうで、日本では展示会と言えば平日に開催されるものが多いように思いますが、金曜日と土曜日に開催されているところが働き方に配慮しているなぁと思いました。会場では子ども連れの方やベビーカーを押した方などもたくさん見かけました。
<Educa会場の様子>
エデュカ主催の学校見学ツアー
1月26日金曜日の午前中は、Educaが主催するスクールガイドツアーに申し込み参加しました。(参加費は一人190€。)企画はVisitEDUfinnという日ごろからフィンランド教育を広める活動をしている企業で日本からの申込みも簡単でした。
当日の朝、まだ真っ暗な8時にメッセ会場の近くで集合します。バスで30分ほど離れたヘルシンキ空港のあるバンターというフィンランドで四番目に大きな街に向かい、1年生から9年生が通うHämeenkylä schoolという公立学校を見学しました。バンターは郊外の人気エリアという印象で、地方では廃校などの問題もあるけれどこのエリアでは子どもの数が増えているとのお話しでした。日本と少し状況が似ているのかもしれません。
今回ご案内頂いた学校は、Best school of Finlandに先生達からの推薦でノミネートされたことがあるそうです。また今回レクチャーとガイドをして下さったPasi Majasaari校長はマイケル・ムーア監督がフィンランド教育を紹介するドキュメンタリー映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』でインタビューを受けていた方でもあり、フィンランドの目指している理想に近い学校ということなのかなと思いました。そして数年前に建て替えられた校舎は建築家のデザインで、スタートアップのIT企業かな、と思うほど最先端でお洒落でした!
学校見学で最も印象に残ったこと
『誰も取り残さない教育』をモットーにしているフィンランドの教育環境では、子ども達のスペシャルニーズに対する取り組みが素晴らしく日本のかなり先を行っていると思いました。各教室のなかにはガラス張りの小部屋が配置されていて、個別レッスンなどが受けられるようになっています。騒音から守るためのヘッドフォンは各教室に数個ずつ置かれていました。廊下にはあちこちに肋木が配置されています。
フィンランドでは子ども達のスペシャルニーズに対する支援は三段階に定義されています。まずは各担任の采配での個別の授業中や放課後のフォロー、宿題など。それから学校だけではなく福祉団体や保護者と連携して学習プランを計画して実行するステップ。そして更に支援が必要な場合はスペシャルサポートとして、個別プランが強化されていきます。
年に一回開催されるプロジェクト・ウィーク
今回訪問したのは年に一回行われる”Project week”が開催されているタイミングでした。通常の授業は実施されておらず、どこのクラスも様々な形で今年のテーマである”食”にまつわるプロジェクトに取り組んでいました。
プロジェクト・ウィークは自主的に取り組む学園祭のようです。食に関する工作や絵画などに取り組んだり、調べたことを冊子にして展示したり、映画を観たり、Kahootを使ったクイズをしたり、料理をしたり、プレゼンテーションをしたり。それぞれのクラスが趣向を凝らしたクラスづくりをしています。
校内見学の終わりに
フィンランドでは、生徒への食事は全て無償で提供されます。私達参加者もツアーの最後に食堂で実際に提供されているランチを頂きました。帰る頃にはお日様が出てきて、たくさんの子ども達が校庭で遊んでいました!
一緒に見学したアメリカ、シンガポール、フィンランド、ドイツ、エストニア、日本からやって来たメンバーのみんなとは会場に戻ってからも何時間もお互いの経験や教育についてディスカッションをしたりととても仲良くなりました。教育に思いを持って学びを得るために遠くまで来ている人間が世界にたくさんいるんだよなぁ、と改めて胸が熱くなりました。
エデュカ会場巡り
メッセ会場へ戻ってからは、金曜日と土曜日の二日間をかけて興味のあるセミナーやプロダクトのブースを見て回りました。たくさんあるブース全部を回るのは難しいので潔く諦めて、Preschool Educationのプロダクトグループを中心にブースを見て回りました。
会場で見つけた面白い取り組みやプロダクト
・DialoQ
とても簡単に取り入れられそうな言語コミュニケーションのサポートツールを紹介されていました。
・Laulau learning
お絵描きをしたがらない息子さんのために開発されたSongdrawingのメソッドを展開されているMinnaさん。私も絵画の導入についてまだまだ勉強中なのでとても楽しそうなこちらの手法を学びたくて書籍とCDを購入しました。まずは娘と一緒にやってみよう。
・Clicko
机の上に置いてあるアルファベット遊びのおもちゃに一目ぼれ。ブースを出展していたのは代理店さんだったのでスウェーデンの本社へメールしましたがまだ日本では未発売とのこと・・。欲しい!
セミナーのみどころ
広い会場の中にはいくつかのステージがあり、その中の一つ”Equityステージ"では全て英語でセミナーが開催されるため海外からの参加者も聴講しやすくなっています。パネルテーマはAIやSDGs、ウェルビーイングなどがトレンドのようで、あとは近年落ちてきたPISAのスコアをどう受け止めていくのかというテーマも人気でたくさんの方が参加していました。
まず先生達がどうすれば学びやすくなるか、どういったところを学びたいと思っているか、というところを中心に考えられているプログラムばかりなことが新鮮に感じました。それから、サステナビリティは学ぶものではなく経験することが大切だというお話や、教育は仕事をする人間を育てているのではなく市民を育てるものであるから民主主義に興味を持つきっかけとして地域の一員である経験を作らなくてないけないという話など、ビシビシと刺さるワードをたくさん浴びることが出来ました。来年も必ずオンラインで聴講し、当園の先生たちにも共有しようと思います。
エデュカ2024に参加して
今回のnoteでは、少しでもEduca会場の雰囲気などがお伝えできていたら嬉しいです。私は今まで情報としてフィンランド教育について知っていたことも実際に見て、聞いて、感じたことで『こういうことか!』と腹落ちするような感覚を何度も味わうことができたので、本当に決意して現地参加してみて良かったと思っています。
開催は真冬で寒くてずっと暗くて美しくなくて微妙な雪が毎日降って足元は滑りやすい時期ですけど(笑)、その分フィンランドの方々の温かさは染みたしサーモンスープの美味しさをより感じたしサウナから氷の海に飛び込む経験もできるかもだしセールのシーズンだったしフライトやホテル代は安く抑えられたと思うので(為替は最悪)、もし検討している方が読んでおられたらぜひたくさんの学びがあるエデュカへ参加してみてください!
後半では、教育視察のもうひとつの目的、学校視察で得た学びをご紹介できればと思います。お楽しみに!