生まれ変わっても好きでいる
寒波が続くなか、すこしせっかちなきみは早まって春が近づいていることを思い出し憂鬱な気分になってしまった。
春になって鮮やかに咲き誇る花々を見て複雑な気持ちになった。春に咲き誇る花々は風に揺られて時に雨に覆い被せられ苦しいのか、それさえも鮮やかな養分として蓄えているのか。少なからず絶え間なく続く嵐に耐える日もあるでしょう。だけど人々の記憶に彩りをのこし綺麗、素敵と呟かれる花々は、陽春が過ぎれば散り呆気なく忘れられてしまう。生まれて人生に一度だけ一生分の絶頂を過ごす花々をみて、ああ、ぼくも一度でも絶頂を残したらすぐに忘れられてしまうのかな、なんてぼんやりと考える。
忘れられたくないだなんて声を出して泣いているきみの涙の粒が光って綺麗だ。綺麗なんて言ったらきみに怒られてしまうかな。だけど、この世にたくさんの言葉を残してくれるきみは愛おしくて、花のように綺麗でかわいかった。きみのことを蔑ろにするあのひとたちの目にうつるきみは、一瞬だけかわいくてすぐにどうでもよく忘れる、まるで陽春が終わり忘れられる花々のように映っているかもしれないけれど、ぼくの目にうつるきみのことは、消すことは絶対にないし、きみのことを絶対に忘れないよ。終わりなんて考えたくないけれど、たとえどんな終わりを告げられてもぼくはきみを忘れないから、安心していてね。生まれ変わっても好きでいるよ、愛してるよ。
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