「1人時間」の肯定
こんなに連休感のない連休は社会人になってから初めての経験だ。
木、金は一応仕事したけど、集中力は完全に切れていたのを自覚している。
今日は「1人時間」について。
あらかじめ言っておくと、あらゆる時間を1人で過ごすことを肯定するものではなく、必要なときはチームプレーをする。ただ、「基本はソロプレイ」のスタンスでいることを個人的には良しとしている。
今回は自分自身が「1人時間の意義」を考えるきっかけになった2冊を紹介できればと思う。
①「湯神くんには友達がいない」
このマンガは、大学時代に本屋の試し読みコーナーで読んだのがきっかけで知った。主人公の湯神くん、そしてヒロインのちひろちゃんと愉快な仲間たちが高校生活で繰り広げる、カテゴリとしては日常系×コメディ系。
湯神くんは野球部のエースで、成績もそこそこ優秀だけど、「友達は要らない」と思ってる一匹狼。無駄が嫌いで、誰かに情けをかけているようでいて、その理由をたどると結局は自分の目的達成のために動いている。
憎めないのは、(基本的には)誰かを蹴落とすでもなく、本当に楽しそうに自分の時間を満喫していること、そして好きな落語の話になると、純粋さが輝くところ。
一方でヒロインのちひろちゃんは、お父さんが転勤族で、なかなか他人に心を開けず、周りの空気に敏感で、いつも他人の感情をうかがっちゃうような典型的な良い子ちゃんタイプ。
自分に対して全く自信を持っていないから、情緒不安定ぶりがすごい。けど根は良い子だし常識人で、作中で湯神くんの考え方を唯一理解している(理解できるようになった)子でもある。
実は登場人物みんな曲者揃いではあるものの、湯神くんとちひろちゃんの対照的なまでの違いが、物語のメッセージを理解する上では一番分かりやすいと思う。
一見、自己中心的に見える湯神くん。だが彼自身のコンセプトは「自分を大切にすること」。自分が可愛いという意味合いではなく、自分のためになることを行動軸にしている点は本当にブレない。
一方でちひろちゃんは当初は、「大切なものは何(誰)?」状態。自分の感情を伝えたいのに、空気を読みすぎちゃって、結局空気に流される。思ってもいない方向に勘違いされたり、彼女自身が空回りしていたりするのがもったいない。
めっちゃ真面目に読むと、友達ってなんだろうね?って話もそうだし、(自分は)誰とどういう関係を望んでいるんだっけ?っていうことを見つめ直す際にハッとさせられる作品ではないかと思う。普通にコメディとして読むにも十分面白いけど。
②「嫌われる勇気」
おなじみ、「アドラー心理学」の火付け役とも言える本書。続編の「幸せになる勇気」も購入したが、個人的には「嫌われる勇気」に十分エッセンスは詰まってる気がする。
これは大学2年生のときに、ゼミ入室試験に落ち(実はその後新設のゼミに入ることになったが)、中検にも落ち・・・と、学業面で結構ズタボロになって、大学生活の残り2年どうしようかなと思い悩んでいたときに出会った本である。
心理学、とはついているものの、社会学とか哲学の方が近いかもしれない。
これも「湯神くん〜」と同じで、自分を取り巻く人間関係に対して、自分はどうありたいかってことと、自分の意思を貫くこと(結果的にそれが嫌われる結果になっても)が大切かが説かれている。
他者がどう思ってるかを考えながら行動しても、結局思い通りにならんのよって話笑(ざっくり過ぎる)
自分を大切にできない人は他者も大切にできない。
それは、自分の価値を他人に押し付けることではなく、自分自身を明確化することにつながっている。
自分自身がどうありたいかが分かることで、そのためにどう行動したら良いかが見えてくる。あとはその価値観を信じて行動あるのみ。
結構勇気づけられた一冊。この本に出会ってなかったら、自暴自棄になっていた可能性大。全部環境のせいにして踏み出せなかったんじゃないかなと思う。
人の心を読むのが心理学なんじゃないか、と思われる方もいるかもしれないが、実のところ、「自分とは何者なのか?」を人間はいつも知りたくて、それを考えるためのツールの1つに心理学がある、というのがイメージとしては近いのではないだろうか。
この2冊には、そんな「1人時間」(もとい自己肯定)を見つめ直す重要性が込められているように思う。
ちょっと話は脱線するが、学問は俯瞰的に物事を捉えるスキルを磨かせてくれるけど、結局はどうなりたいのか、何をやりたいのか・・・そういった答えはスキルを磨くこととイコールではなく、また別軸で探していかなければいけない。
自分を奮い立たせるための読書が好きだ。新しい知識を吸収するというより、どこに共感できるのかを探すような本の読み方をしていることに最近になって気づいた。