「今の時代お客さまの満足度を上げないとダメです。楽譜をアウトソーシングして本気って言えない!」
自分のやりたいことで、お客さまに喜んでいただくにはどうすれば良いか、という視点で考え始めたら、色んなことが気が楽になったなと思う。
それまでは「聴きなじみのあるクラシック」とか「歌謡曲」とか色々と言われてきて、風見鶏みたいな気分になることもしばしばあったけれど、ぶれずに「ピアソラの専門ですから」「ピアソラっていいですよ」ってしっかりと伝えてきて良かったなと最近になって実感している。
おそらく…その意見の通りに動いていたら、目先のお金は手に入ったかもしれないけれど、消費し尽くされてしまっていたと思う。
おんなじことやっている人は世の中にはたくさんいて、おんなじことやるような新しい人たちはこれからもたくさん出てくるだろう。
だから、オリジナルの譜面というものはわたしたちにとってもの凄く財産だ。世界にたった一つしかない、わたしたちだけのための楽譜。オーダーメイドのお洋服を着るくらいリッチで幸せなことである。
昨日の公開練習で(もんのすごいおなかが痛いのと戦っていたという言い訳もしたいが)、非常にぼんやりと演奏していたら、「もっと考えろSpeakしろ」と、同じところ(しかも苦手なところ)を何度も何度も繰り返し吹かなければならなかった。このフレージングはそう、わたしたちのために書かれているものなんだと思ったら、この「当たり前化」しているわたしたちの楽譜に胡坐をかいていたなと大反省だった。考えた先に考えない音楽があるって、なるほどの境地であるが、まだそこまで到達できていないのである。おなかは今日も痛い。