春の匂いがして音がしない。
日付をまたぐまでに仕事を終わらせようとラジオを付けたら、DJが「僕はなんていうかな、この季節の匂いが好きなんですよね。わかるかなあ」と言っていた。私も季節は匂いで感じることが多いので、よくわかるな。と頷いた。この乾燥した土に雨で湿度が生まれて、温かくなってきた気温で上に上がっていく霞のような春の匂い。特に夜には。
帰り道、ふと気づいたら無音だった。わたしの靴音以外何も聞こえない。たまたまだったか車も通らず、もちろん人もおらず、本当に音がないところにいる。ついに失聴してしまったのかと急に怖くなるが、違う。物音が何一つしないのだ。動いているのは私一人だ。
冬場は遠くの音がよく聞こえる。夏場は人がより遅くまで活動するので物音がする。しかし、無音というのはどう録ればよいのだろう?
6月22日の定期公演「Aqua」のチラシを作り始めた。録り溜めた音を使ったインスタレーションを行う予定。どんなチラシにしようか絶賛悩み中。
私が大好きな「村上RADIO」で、ハルキが「ソニースタジオで録ったハービーハンコック」のダイレクトカッティング録音を紹介していた。新品のスタインウェイの音が良い、と言うんで楽しみに聴いたけれど、あまりにも硬く(ソリッドとは少し違う)楽器が「おはよう」と寝ぼけ眼をこすっているところを無理やり叩き起こしているようにしか聞こえなかったのは私がよほど疲れているのだろうか。
20240403
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