私はとってもトリが好き
実は私はトリ肉が大好き。元気が出ない時、急に鶏肉料理が食べたくなるし、東洋医学の観点で自分の体質への滋養強壮になっていると知りました。
それではどんな鶏料理を好むのかというと、親子丼や中華丼の具、弁当の煮物の一片では物足らない。
中食・外食では参鶏湯、ローストチキンなど、お腹いっぱい味わうスタイルに食指が動く。時折野性的に調理したくなり、1kgの丸鶏を購入したことも。丸鶏捌きは一度チャレンジしてみると意外と簡単とも知りました。
鶏肉偏愛の真相はまだ明確には明らかになっていないのですが、少ない海外経験の中で最高に美味しい鶏料理に出会ったので短く紹介します。
1つは、2017年5月のアメリカ・オレゴン州ポートランドで。
もう1つは2017年 11 月のインド・ニューデリーでのこと。
カオマンガイ(シンガポールチキンライス)の存在は前から知っていました。
日本で食べる味も好きですが、ポートランド市内3 店を構え、連日長蛇の列ができるという屋台と祖国のタイを背負ってポートランドで働き始め、店を手掛けた若い女性に関心を持ちました。
滞在中2回も足を運び、レバー付き、ライス大盛りのオプションを選択。
ここが丸の内で、並んで食べているのがOLならば「服が汚れやしないか」と不安になるかもしれないけどわ無骨な紙に包まれたライスと鶏肉に特製タレを回しかけ、それを膝の上で食べられて、食べたら紙を小さく丸めて捨てられるエコさ、スマートさもこの店の魅力だと知りました。
「インドのインド料理はきっとおいしいはずだ」と決めてかかり、旅行中の飲食店に関して全く下調べせずに挑んだ初の渡印で、ニューデリー市内に到着した深夜0時過ぎ。
知人の日本女性に案内された店、薄焼きパンやバスマティ米のビリヤニ(炊き込みご飯)とともに次々と出される壺窯焼のチキンや濃厚なカレーを長時間のフライト疲れも忘れて夢中で食べました。
その4日後、料理本を執筆するインスタグラムで話題の編集者さんが後を追うように店を訪れていたことを知り、おいしい体験はまた反芻したのです。
2017年の雑誌『dancyu』8月号に寄せて
「『知る』ことで、食の楽しみが広がる。」
これは2017年の雑誌『dancyu』8月号の植野編集長による言葉。それを思い出しながら、私の取材のモットーである「先回りで美味、現場で美味、後付けで美味」で締めくくります。
現場での実食はもちろん、自分のみぞ知るおいしい体験の増幅のため、事前リサーチが効くこと。
後付けのお墨付きも、まだ知らない人への波及力につながることで、先回り・現場・後付けの3点セットは必須です。
さらに付け加えるならば「奥行き」。SNS 時代の画像世界でどうしても伝えきれない料理の魅力です。
例えば、バターチキンカレーのおいしさの裏側にはふんだんなカシューナッツの存在があることを知っているのは料理人か料理愛好家のみ。
それはとても惜しい。
奥行きが伝わらないスマホ写真やSNSだからこそ、付す説明文の表現にもこだわって伝えることに努力邁進していきたいものです。