The Painted Room(シェイクスピアゆかりの地)
え、こんなところに?という場所にThe Painted Roomがある。
オクスフォードのコーンマーケット・ストリートという繁華街。ボーダフォンのお店の脇に、全く興味のそそられない階段がある。そこが入り口だ。
何度も通りすぎた場所だが、一度も気が付かなかった。
今日は無料で公開されているというので、既にできている列に並んでみるも、何が見られるのかまだ私は知らない。
後ろに並んだ女性が「So what do we know about this room?」と、相手の男性にグッドタイミングな質問を投げかけるも、彼も知らないと言う。
人数制限があるため20分ほど待っただろうか。前のグループの見学が終わり、いよいよ中へと案内される。
手すりにつかまりながら、狭い階段を登っていくと、小さくて狭いが重みのある部屋にたどり着く。するとこの部屋がThe Painted Roomと呼ばれる理由が腑に落ちる感覚があった。
壁の一面に葡萄や花と思われる絵が描かれており、一部まだ絵が途中で終わってしまったような、もしくは絵具が落ちてしまったような部分がある。
この絵が発見された当時、V&Aミュージアムの協力において調査が行われたとのことだが、絵は恐らく大工によって描かれたもので、特に画家が関与したものではないと判明(絵のレベルとしてはそうでもないとのこと)。
ベースになっている赤の絵具も、地元で入手できる安いものが使われており、直に壁に絵を描くこと自体、コストをかけない方法の一つだったという。
この壁に絵が施されたのは、1564年から1581年に居住していたJohn Tattletonの頃と考えられているが、建物自体はもっと前より存在していたよう。
この壁の物語で面白いのは、壁のデザインが後に時代遅れとなり、それを隠すための木製のパネルで覆われたこと。
そしてその後、1927年にE.W. Attwoodが「隙間から何かすごいものが見える」と発見するまで気づかれず眠っていたことだ。
保全ではなく隠す目的で覆われていたわけだが、このおかげで現在に至るまで絵が生き延びたとのこと。
例えば、自身の描いた絵が、4世紀以上誰にも見つからず残り続けた後に発見されることを想像すると、そのロマンとミステリーにちょっと身震いする。
この部屋が有名な理由はもう一つ。Tattletonの後、テナントとなったJohn Davenantが、William Shakespeareの友人で、シェイクスピアがLondonと彼の出身地Stratford-upon-Avonを旅する途中で、まさにこの部屋に滞在していたそう。
今も存在するThe Crownというパブでシェイクスピアはおもてなしを受けたとか。
Oxfordは他にも歴史ある面白いパブがたくさん。