平穏に暮らしたい海外サッカークラスタのための5つのルール
5つのルール
Twitter(新X)を始めて5年を迎えようとしているが、SNSというものを一定理解するようになってきた。海外サッカーファンとして個人的に「これは気をつけよう」というルールを言語化してみたので、よければご一読してもらえたらと思う。
①自分のサッカーの考えには偏りがある
②自分とは違う意見があり、その意見にも価値がある
③サッカーの評価はどこに基準を置くかで異なる
④仲間と意見がズレるとき、基準が違うと考える
⑤ライバルへの攻撃はリアルなつながりがある人と
フィルターバブルとエコーチェンバー編
最近は小学校でもこの2つの言葉は学習しているらしい。私たち大人もネット・SNSを活用していく上で必要な知識である。
SNSでは自分の好きなチームや選手をフォローする。そしてそのチームを応援するファンやサポーターともつながっていく。私はユベントスが好きなので、TLはほとんどユベントスの情報しか流れてこない。私がユーべ愛を叫べばそれを肯定してくれる人たちがたくさんいる…たぶん。つまり、私の意見は明らかにイタリアリーグの1チームのみを肯定する偏った意見となっているにも関わらず、その内容を批判(ポジティブな意味で)する意見とは出会うことはない。 ①自分のサッカーの考えには偏りがある ということを認識しておくべきである。
私のSNSのつながりでは私と同じような意見を持った人しかいない。鍵をかけなければ一見オープンだと思えるSNSであるが、それは実に閉ざされた空間となっており、自分の意見はいいね!によって強化されていく。そうして私は自分の意見を絶対的に正しいものだと誤解する。そんなときに自分を否定する意見と出会ったら、うまくコミュニケーションがとれずトラブルに発展する可能性が大いにある。 ②自分とは違う意見があり、その意見にも価値がある ということは常に意識しておくべきだ。
サッカーのとらえ編
Twitter(新X)というものをよくわかっていなかったときはここが一番しんどかった。どうして自分が『応援』するチームや選手に対して非難をするのか理解できなかった。
サッカーというものは実に評価が難しいスポーツだと思う。複雑系であり、フィジカルやメンタルなどさまざまな要素が複合的に絡み合っている。だからこそ、サッカーを明確に言語化できる実況者・解説者には大きな価値がある。持論を一つ。 ③サッカーの評価はどこに基準を置くかで異なる と私は捉えている。どの期間を評価の基準に置くかによって、チームや選手の評価は変わってくる。
基準【ワンプレー】
選手評価× 「ミスがあった ディフェンスだめだ」
基準【一試合】
選手評価× 「ミスがいくつかあった 決定機も外した」
基準【一か月(5試合)】
選手評価△ 「ミスが減ってきた 勝負の縦パス増えた」
基準【前半戦(19試合)】
選手評価○ 「チャレンジの良さ目立つ アシストも増えた」
基準【一年間(38試合)】
選手評価◎ 「後半戦はさらにアグレッシブに 得点も多い」
私であればユベントスに在籍する選手について評価するときにどの基準を見て、発言しているのか?ということ。たとえば、今日の「ミレッティはダメ!」だけど、ここ一か月では「ミレッティは期待できるぜ」となる。
おそらく、リアルタイム投稿しているユーザーはほとんどが【ワンプレー】や【一試合】に基準を置いて評価しているはずだ。しかし、もう少し大きな視点で評価をしている人とはズレる。少数派は「逆張りだ」と非難される可能性もあるかもしれない。ちなみにこの基準の違いによる評価のズレは同じチームを応援している仲間うちで発生しやすい。 ④仲間と意見がズレるとき、基準が違うと考える のがよいのではないか。
ライバル関係にあこがれて編
私はもともと海外サッカー(特にセリエA)が好きだった。だからミランの100周年ユニも買ったし、インテルのレインジャケットも買っていた。2002年、ユーべの沼にハマってからはそれはできなくなった。
昔からインテリスタはユベントスが嫌いだし、ユベンティーノはインテルが嫌いだ。カルチョポリがそれに拍車をかけた。ユナイテッドのファンは現在の「シティの時代」を苦々しく思っているし、バルセロニスタは「レアルマドリーのようにお金を使えない」なんて言われたら怒ったりする。
海外のサポーター文化は我々極東の島国に住む者から見るととても魅力的に映る。日本でも実際にライバルチームとの関わりについてのファン文化は(度を越すことがなければ)娯楽となっている。私もユベントスが好きだ。だから現地のティフォージのようにライバルチームのファンとやり合って楽しみたい。
これを日本に住む『Twitterサポーター』たちがやり合うのが実に難しい。文字と画像だけのやり取り、相手の表情が見えないというのがジョーク(ブラックジョークも含む)が非難・攻撃へと発展してしまう危険性を常にはらんでいる。やはり ⑤ライバルへの攻撃はリアルなつながりがある人と やるのが望ましいと考えられる。
最後に
サッカーの捉え方は多様であることから、そのサポーターもあり方も多様であるのが自然だと思う。ただ、選手に向かって「死ね」や「いらない」と繰り返し発信していくことは断じて『応援』ではない。それは誹謗中傷である。選手の身に何か起こってから「いやそんなつもりはなかった。まさかそうなるとは思っていなかった」と言っても、心の傷は消えないし、誹謗中傷をしたという加害行為も消えることはない。
みんな好きにサッカーというスポーツを楽しむべきだ。そこに厳密な約束事はない。約束事がないということは『 思いやりと誇り 』をもって私たちは応援していくべきである。先に述べた5つのルールを感じてもらいながら、新しいシーズンの開幕を迎えることが出来たらいつもよりちょっと優しくなれるかもしれない。