どのようなクラブを応援するのかを理解する(後編)
私はどのようなクラブを応援しようとしているのだろう。サポーターがそれを理解することは不可欠ではないが、知っているともっと楽しみが増えるのではないだろうか。
前編では「常勝かどうか」「選手たち」「監督たち」「フロント戦略」という『移りゆくもの』に焦点をあてた。今回の後編では『変わらぬもの』について考えていきたい。
変わらぬもの
変わらないというと語弊があるかもしれない。「なかなか簡単には」変わらないものがクラブにはある。それこそがクラブのアイデンティティであることが多いはずだ。
①スタジアム
スタジアムはいい。私のように普段からテレビで観戦する人だと、スタジアムに行くこと自体がすごくワクワクする特別な時間だ。他のチームに自慢できるような歴史や伝統や最先端の設備をそなえていれば尚更だ!テレビで見る欧州のスタジアムはまるで夢の世界のよう。一度でいいから行ってみたい!と思うし、SNSでつながったサポーターの人が行ってたら、自分のことのように嬉しくなるね。
あなたのクラブのスタジアムはどんなところ?
②クラブの歴史
クラブの歴史と言っても2つの種類があるはずだ。それは「自分が経験していない歴史」と「自分がともに歩んできた歴史」だ。当然応援する前の話は知らないので、「そんなことも知らないのか?」と攻撃してくる自分と比較して古くからのサポーターのことは気にしなくていい。
「街の公園でサッカーをしていた若者たちが設立。その公園のベンチに座っていた老貴婦人が…」とか「もともとはピンクのユニフォームだったけど、イングランドのチームの白黒ユニを採用して現在にいたる」とか、自分の好きなクラブの始まりのエピソードは美しい。知ることでもっとクラブのことを理解できた気持ちになる。
長く応援していると、クラブのさまざまな場面に出くわす。買収があり、オーナーが変わることもあるだろう。不正スキャンダルが発覚し、降格処分を受けることもあるかもしれない。
大切な時間はその後の時間で、クラブに大きな事件があったときに選手たちと共にクラブに忠誠を誓うことが出来れば、後になってみるとクラブ再建の時間はファンにとっても素敵なストーリーになるはずだ。
金曜日の夜のような素敵な時間があれば、月曜日の朝のような辛い時間もある。『決勝戦で負けること』は何とも言い難い悲劇だ。悲願の優勝をのがした心の悲しみは優勝をすることでしか癒やすことはできない。私は20年間、ユベントスがチャンピオンズリーグで優勝することを願ってきた。どうやら今年もそれはかなわないようだけど、逃せば逃すほどその想いは強くなっていく。悲劇はチームへの想いを強くする。『涙の数だけ強くなれるよ』というやつだ。
最後に…クラブのDNAとは
自分がどのようなクラブを応援しているのか。それが理解できれば、よりクラブを愛することができるかもしれないし、同じクラブのファンの中でも起こる争いが減るかもしれない。
ユベントスのDNAは『変革』と『ハードワークや犠牲的精神を通じてあらゆる勝利を勝ち取る』であると人は言う。それは共通の認識として持っておいて、あとはファンが好きに愛したらいいと思うのだ。
選手や監督の個性に焦点をあて、笑いとネタでいろどる愛し方。
フロントの戦略について情報を収集し、表に出てこないところまで推測し、今後の動きを考えていく愛し方。
こういったファンの愛し方もまたクラブのDNAとなり、他の人へと広がっていくのではないか。あなたはどのようなクラブを応援しているのか。それを作るのもまたあなたなのかもしれない。