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SNSで尊厳や内省のエッセンスは届けられるのかという挑戦。【企画インタビューvol.1】

この記事はNPO法人PIECESが行う、問いを贈ろうキャンペーンの企画メンバーに、企画の成り立ちやその背景にある大切にしていることについて、ざっくばらんに話を聞いたものです。

NPO法人PIECESとは
子どもの周りに「信頼できる市民」を増やすことで、孤立することなく生きられる環境づくりに取り組むNPOです。

問いを贈ろうキャンペーンとは
PIECESのSNSを通じて「問い」を発信。問いを受け取った人たちが、自分自身や周りの人、社会や未来に想いを馳せるきっかけをつくる取り組みです。


記事内では、以下の広報メンバーで話していきます。

くりちゃん:今年広報チームに移動し、問いを贈ろうに一部関わる。
あんちゃん:広報&啓発チーム。問いを贈ろうのプロジェクトリーダー
まいさん:広報&啓発チーム。問いを贈ろうキャンペーンのメンバー


自分の価値観や願いから社会の見え方が変わる「問いを贈ろうキャンペーン」

◆キャンペーンの成り立ち

くりちゃん
問いを贈ろうキャンペーンの成り立ちを教えてください。

あんちゃん
PIECESが大切にしている「内省」というところから始まっています。
物事や出来事を一つの視点だけで見るのではなく、その背景にある自分の想い、その時に関わっていた他の人の想いや願いなど、いろんな角度からみつめるということを市民向けのプログラム(Citizenship for Children=CforC)の中でずっと大切に育んできていたんですね。

プログラムの中では丁寧にやっていくのですが、そのエッセンスをもう少し広く私たちの生活の中にも届けたいという想いから問いを贈ろうキャンペーンというものが浮かび上がってきたと私は解釈をしています。 1年目にはまだ私はPIECESにいなかったのですが(笑)

くりちゃん
 概要としてはsns キャンペーンであっていますか?

あんちゃん
そうですね。SNSキャンペーンでいいと思います。
PIECESからSNSで問いを贈り、その問いを受け取った人が自分の中にある願いとか価値観を見つめたり、周りの人とか地域とか他者に思いを馳せたり、さらに未来とか世界とかに思いを馳せる。

問いを受け取った人が普段なかなか考えられないようなことを立ち止まって考えるきっかけを作るためのキャンペーンです。

◆その年に発信する問いを選ぶ基準

くりちゃん
キャンペーン中に発信する問いって毎年どんな基準で選んでいるのですか?テーマがあるのですか?

あんちゃん
 テーマがありますね。
ちょっと戻るのですが、元々9月21日の国際平和ピースデーに掛けて、このキャンペーンを始めていて。自分や社会に関心を持つというところからスタートしてます。 

そこで最初に話した内省という視点が必要だよねというところから始まっていて。なので、一番最初に始まった時のキャンペーンが一番問いが多く、31個の問いを用意しました。

その時は1ヶ月の中で4つのテーマを設けていて、まず1週目が自分にフォーカスし、2周目で周囲=家族や職場なども含めた周りにフォーカス、3週目が社会=日本や世界にフォーカスしていく。 そして、4週目で未来にフォーカスするという流れで、だんだん視野が広がっていく形でテーマを決めていました。

 そして、毎年若干そのテーマや問いを少しずつ変えています。 
1年目の31個という数は多かったし、受け取る側も結構しんどいねと。毎日問いに答えられない後ろめたさとか。 1ヶ月間、毎日問いが贈られると行き詰まってしまうという声もありました。

くりちゃん
立ち止まって考える機会の予定がまさかの後ろめたさを生んでしまったと。
受け取り手としては、1個1個の問いをじっくり味わいたい気持ちなのですかね?

あんちゃん
そうですね。あと結構も問いが難しいからパッと答えるのも難しくて。一問一答みたいに答えられる問いだったらいいのですが、 すぐには答えられなかったり、よく考えてみたいと思うような問いが多いので。 それで 2年目は少し問いの数を減らしました。


1人が考えたところで社会は変わらない?

くりちゃん
ちょっと哲学的な話になるのですが。
問いのキャンペーンは一人ひとりが考えていくことを大切にしていると思うのですが、 一方で、1人だけが考えたところで社会は変わらないよねという意見もあるじゃないですか。

でもPIECESとして、この問いのキャンペーン以外の啓発活動でも他の事業でも、唯一の正解がないことを無意味だと思ってないし、一人ひとりが行動変容していくことが大事だと思ってる。その背景には何があるのだと思いますか?

あんちゃん
 例えば、目の前にチョコレートがあったとして、もしかしたら子どもが働いて作ったチョコレートかもしれないという時にどうするか。

ずっとそのチョコレートを食べ続けて、そのチョコレートを生産し続けることに加担するのか、このチョコレートを買うのはやめようか?子どもが働かないで作ってるチョコレートがあるんだったらそっちを買おうかなって思うのか。

その行動の変化は1人だけで見るとすごく小さいけれど、それが伝播することによって、大きな社会を動かすためのアクションになると思うんですよね。PIECESがよく言っている「私たちの手元から紡がれてる」というのは、そういうことなのかなと。 

まいさん
PIECESのこれまでの活動としては、目の前の一人に対して、どう発言するかとか、どう行動するかということを突き詰めてきた。そういう内省し続ける姿勢からきてるのかなって思ったり。

あんちゃん
それがゆくゆく社会自体の変容につながっていく。それが本当にそうなのかは分からないんだけれども、私たちは信じているっていうことなんだろうな。


自分から遠いものと思われそうだけど、それでも尊厳と表現する理由

くりちゃん
 今年の企画立案中に「尊厳」について深く話をした印象がありました。
なぜ印象に残ったのかというと、権利とか尊厳と言われると、私は自分からすごく遠いものという感じがしちゃうんです。

私が私らしくあるとかならわかるし、そういう言い方をPIECESでは使うこともありますが、そうではなくあえて「尊厳」という言葉を使うのはなぜなんだろうと。

あんちゃん
ニュアンスで言えば、私らしくは似てるのですが、尊厳とはちょっと違う感じはしますね。

権利とかもそうだけが、元々その人が生きているだけで持っているもの、守られるべきもの みたいなのがなんか尊厳だと思っています。 私らしさというのは育まれていくもののような気もして。

 本来私たちは絶対に大事にしなきゃいけないんだけれども、でもおろそかにされているのが尊厳みたいな。その人そのものみたいな感じがする。

まいさん
PIECESとしても、あんちゃんの言ったニュアンスに焦点を当ててる気もしますね。

あんちゃん
だからこそ、今年は今までテーマを設けてきた中でも特に、自分にフォーカスした問いを中心にしていました。

自分の尊厳も相手の尊厳も大切にするためには、自分が本当に願っていることや自分の中で培われてきた価値観とか、自分の中にある大切にしたいと思っていることを自分で見つめてあげることが必要。 そこから自分のことも大事にできるし、相手のことも大事にできる。

だけど、そこに向き合っていくきっかけが日常の中だとなかなかないので、今年は自分を見つめる問いをメインにしました。

くりちゃん
今の話は面白いですね。
尊厳というと「他者のことを大切に」みたいなイメージがあるのですが、今の話だと「自分の尊厳を大切にしようね」ということを言っている。 

あんちゃん
言葉にしてしまうと胡散臭い感じになるのですが、自分を大切にできないと周りも大切にできないということに尽きるのかなという感じはします。

くりちゃん
ちなみになんで今年は「自分」に焦点を当てたんでしたっけ?

あんちゃん
そこがPIECESの原点だなと思ったからかな? 
子ども支援というと子どもにフォーカスするけど、やっぱりPIECESのユニークさは「関わる自分がどうしたいか、その願いをきちんと向き合っていく」という点にある。 そこの原点に問いキャンペーンも戻ってみてもいいんじゃないかと思ったのが大きな きっかけかな。

まいさん
なんか普遍的な問いってあるのか、みたいな話を企画段階の最初はしていましたよね。毎年テーマごとに問いはつくるけど、必ず毎年出す問いもあるのではないかと。

 子どもの権利とか、テーマを絞って問いを作るとかも考えたんですけど。 一旦戻って普遍的な問いはあるのかと議論して、そこから今年は自分を見つめることにフォーカスをすることになった感じでしたね。



今回の記事はここまでになります。
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