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子どもが心に深い傷を負うことなく生きるには、社会にどのような日常を広げていけばいいのか?

現在、子どもたちの生きる地域に「信頼できる他者」を増やすため、8/31(土)までクラファンを実施中です!



医療や福祉の現場に関わったメンバーから生まれた問い

PIECESは、医療や福祉の現場で心に深い傷を負った子どもたちと出会ってきたメンバーによって、「子どもが心に深い傷を負うことなく生きるには、社会にどのような日常を広げていけばいいのか?」という問いと共に立ち上がりました。活動を進める中で、実感としても、様々な調査研究等からも「孤立」がもたらす影響の大きさに気づきました。そして、多くの取組みが「孤立する子ども本人」に向く中、より中長期的なエネルギーが必要となる「孤立しない環境づくり」にチャレンジしています。

「市民性の醸成」から生まれる環境づくり

自分自身の小さなSOSを、安心して発せられる環境。他者のSOSに気づき、受けとれる環境。誰もが、自分がここにいて大丈夫だと思える環境。そのような環境を築いていくうえで、私たちPIECESが大切にしているのが、「市民性」です。

私たちはこの市民性を、役割や立場を越えて、その人なりの在り方を大事にしながら他者や社会と関わり合おうとする姿勢だと捉えています。

この時、ベビーカーに乗って頬を赤くしていたその子は、声こそ発していませんでしたが、とても寒そうに見えました。そして、その様子に気づき、声をかけた若者たちがいました。実際にどうかは分かりませんが、声をかけられた親子だけでなく、それを見ていた周囲の人たちも含めて、そこにいることへの安心感や他者への信頼のようなものが広がっていたように感じます。


専門性を持った支援者と、そうじゃない存在の他者

子どもにとっては、学校の先生や専門性を持った支援者などの、その役割や立場があることで支えられている側面ももちろんあります。 それと同時に、あるいはそういった存在でないからこそ、気づけることやできること、届けられることがあるはずだと思っています。

特定の人や団体が持つ力やアクション、専門性などによって支えられていることもあるけれど、日常は一人ひとりの小さな振る舞いやまなざしによって紡がれています。

その一人のあり様・あり方に小さな変化が生まれることによって、少しずつ誰かの日常や、まちの風景が変わっていく。市民性を育むことで、そんな未来を描いています。


そのような市民性を育むために、私たちは「Citizenship for Children(CforC)」と「Cultivate Citizenship」という2つの事業を柱に据えて活動しています。

子どもに関わる市民に届けるプログラム「Citizenship for Children」

CforCは、子どもと自分にとっての心地よいあり方を共に学び、実践するプログラムです。およそ6か月間のプログラムを通して大切にしているのは、対話と内省です。仲間や講師の方々と対話したり、子どもや他者との関わりを振り返ることにより内省を深めたりしていきます。

ある望ましい状態に向けて、効率的に何かを習得したり積み上げていくプロセスとは大きく異なるので、一見遠回りのように感じるかもしれません。
ですが、一人ひとり市民性の発揮の仕方は違うからこそ、「何をするか(Doing)」よりも「どうあるか(Being)」を探求するプロセスを大事にしています。

近年は、10代から60代まで幅広い年齢層で、所属・属性も多様な方が参加するようになり、累計では全国各地から627名の方々に参加いただいています。



市民性の価値を発信し、社会の土壌をつくる「Cultivate Citizenship」

この事業では、より広く市民性の価値を届け、子どもも大人も尊厳が大切にされた社会の土壌をつくるために、WEBでの情報発信や講演、イベントなどを行っています。
2023年のこども家庭庁設立以降は、こども家庭庁の子ども向けホームページにおける記事の監修、あるいは子どもや若者が国の制度や政策づくりに参画するための事業において、意見表明のサポートをするファシリテーターも担ってきました。

全国各地の団体や機関、自治体、企業の方々と協力する「コンソーシアム」

これらの事業を通じて、たくさんの試行錯誤を重ね、市民性を育むためのエッセンスをたくさん集めることができました。

一方で、そのエッセンスを元に市民性の価値や、市民性に基づく実践を広げていくという次なる段階においては、これまでのやり方では限界があります。これまでの事業モデルのまま、さらなる広がりを生むためには、PIECESが組織の規模を大きくし、PIECESが活動範囲を広げるしかないからです。既に子どもの周りにはたくさんの人がいて、たくさんの営みがある。環境づくりにアプローチするのであればなおさら、PIECES単独でこれ以上活動を広げるのは筋がいいアプローチのようには思えません。

そこで、昨年から着手しているのが、「子どもの孤立を防ぐための協力・共創プロジェクト」の取組みです。市民性の醸成を、「PIECESによる取組」から「各地の団体や機関、自治体等との協力・共創による取組」へと変容させることで、持続可能かつ効果的な取組に進化(深化)させるチャレンジです。
想いを同じくする全国各地の団体や機関、自治体、企業の方々とコンソーシアムを形成し、各地域で市民性を育む活動を面で広げることに挑戦しています。


この協力・共創による取組みに、いま大きな可能性を感じています。取組む課題が大きいからこそ、時間とエネルギーを要する取組みだからこそ、様々なセクターの様々な担い手と協力し合うことの重要性が高まると痛感しています。

子どもの周りに信頼できる他者が増えることで、孤立することなく生きられる環境がつくられる。今回のクラウドファンディングを起点に、市民性を軸とした協力・共創の輪を本格的に広げていきたいと強く願っています。


最後に

私たちの活動は、受益者の方々から対価を頂くことが難しく、事業が発展すればするほど支出が膨らんでいきます。そのため、個人・法人の方々から資金面でのサポートを頂くことにより活動の持続・発展が支えられています。
ただ、どうしても緊急性・即効性が高く、直接的な活動に比べると、資金を集めることのハードルは格段に高くなります。時間をかけて社会の土壌を豊かにするような取組みを続けることは、年々難しくなっています。
私たちの活動によって、今この瞬間にある大きな痛みや苦しさから誰かを救うことはできないかもしれません。

それでも、一人ひとりのまなざしやあり方が変わっていけば、社会にやさしいつながりが生まれ、大きな痛みそのものが生まれにくい社会になると信じています。
子どもの周りに信頼できる他者を増やしていきたい。
そのためには、「市民性」を育むことの価値を一人でも多くの人に届け、市民性を軸とした協力・共創の輪を広げていく必要があります。
一人でも多くの方と、このチャレンジを共に実現していけたら嬉しいです。ご協力・応援どうぞよろしくお願いします!


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