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50代転職日記 #7

「この度、株式会社●▼でのご実績に興味を持ちまして、即戦力のリーダーとしてスカウトのご連絡をさせていただきました。」
最終面接前に見送りとなって選考待ち0件になってから程なくして新たなエージェントからの面談の申し込みが届いた。
ZOOM画面の向こうに現れたのは、これまでのコンサルタントとは違い、私より年上の落ち着いた男性だった。
「ご学歴もご職歴も申し分ありません。地頭がよろしいんでしょうね。今私が出入りしてお付き合いがあるこちらの会社さんに推薦させていただきます。ここがだめだったらあと数社ご紹介したいところがありますのでよろしくお願いします。」
ネガティブワードをいっさい使わず、無理(無駄)な挑戦をさせようとしない、こちらが恥ずかしくなるくらい大げさにほめちぎってくれて朗らかな話しやすい人だ。
これまで有期契約の経理部長を紹介されたり、最終面接前で選考が強制終了となったり、何の手応えもない活動状況だったので、この出会いは涙が出るほど嬉しい。
コンサルタントが提示した求人票を見て、履歴書の志望動機を書き直して提出した。
「私、50歳を過ぎてるんですけど、大丈夫ですかねぇ」と自嘲気味にそのコンサルタントに聞いてみると「そんなの、誤差の範囲ですよ。気にすることはありません」と拍子抜けするような答えが返ってきた。
私が20代、30代の頃は40歳以上の応募者はテーブルにも上げなかった。その年齢で何やってんの?無理でしょうと思っていた。40歳以上のルーキーが社風に馴染むなんて想像も出来ないと思っていた。しかし今は情けないことに私自身がその得体の知れない高齢求職者として彷徨っている。今はこのコンサルタントにすがるしかない。
紹介された会社は総菜屋。総務課リーダーの求人だ。
コンサルタントとの面談から10日後、一次面接の日程の連絡があった。コンサルタントと会社のパイプが強固なのだろう。もはやエージェントの助け無しで面接に漕ぎ着けるのは不可能とさえ思う。
100社以上エントリーしても書類通過しない人は面倒くさがらずにエージェントを利用して自分の市場価値をフラットな目で評価してもらうだけで変わってくると思う。マネジメント経験が乏しく年収も低いと自分は無価値なのだという思い込みからハローワークや求人サイトから自分が出来そうな仕事だけを選んでエントリーを続けているのは時間がもったいない。
次の一次面接は対面だ。カンニングぺーパーは使えない。お気に入りのオシャレなコワーキングスペースでブツブツ独り言のように自己紹介の練習をしていると、気づいたら周りから誰もいなくなっていた。

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