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50代転職日記 #8

総菜屋の一次面接は本社で行われる。工場と本社機能が一緒のため、必然的に立地が郊外となる。
道に迷わないように事前に下見することにした。
電車を3つ乗り継いで駅から歩いて15分、1時間30分くらいかかる。遠い。電車に乗っている時間はそうでもないが、乗り継ぎに時間がかかる。面接の時間に間に合うように着くかどうか最寄り駅に降りて歩き始めた。一本道で迷わなかったが、汗が吹き出る。大きめのタオルハンカチが要るな。入り口も確認して準備万端で当日を迎える。
面接の当日、コンサルタントから、「今日の面接はこれから上司になられる方と採用責任者の2名が担当されます。しっかりとご自身が実現されたいことを伝えてくださいね。」とメールが入っていた。
会社に着くと玄関で背が高くスリムな男性が笑顔で迎えてくれた。やさしそうでちょっとホッとする。
長い廊下の先にある会議室に通され、人事と総務課長の2名の面接が始まった。業務が忙しいのか、総務課長が一息遅れて登場した。
一通り職務経歴書についての質問を受け、逆質問では「一番遠くから来られている方はどちらにお住まいですか?」など、ざっくばらんな話しをして面接が終わった。
「おめでとうございます!一次面接突破しました。しっかりと準備して臨まれた結果ですね。」
3日ほどしてコンサルタントから一次面接通過の連絡と総菜屋からSPI試験のURLが送られてきた。
絶対内定もらいたい。ここで決めたい・・・。
SPI試験の受検は1週間ほどの期間が設けられている。あまり遅いと結果が出るのも遅くなる。毎日1時間のSPI試験対策をしてきた自分を信じて、受検開始日から4日後にコワーキングスペースでSPI試験に臨んだ。
受検から1週間後、コンサルタントからSMSで折り返しの連絡がほしいとメッセージが入った。
・・・どっちだ?
恐る恐る電話をかけると馬鹿でかい声で「おめでとうございます!筆記通りましたよ。いや~凄いな。僕は年だから絶対無理ですね~。やっぱり頭がいいんですね~。」と、また大げさに持ち上げてくる。お世辞と解っていても孤独な戦いをしている身にとっては本当に嬉しい。
「次は役員面接です。社長の息子さんです。熱い方なので思いをぶつけて頑張ってください。」
どんな人なのだろうとエゴサーチしてみる。息子さんなのであまり情報がない。数年前に会合に参加したときの集合写真を見つけ出した。お坊ちゃんぽいスマートな印象。大人しそうな感じだけど本当に熱いのかな。
ま、いっか。ここまで付き合ってもらって本当に有り難いよ。全力でぶつからなきゃ失礼だ。
自己PRの振り返りのため、これまでの社会人人生を振り返ってみる。私を助けてくれた人たちのことに想いをめぐらす。ヤバい。面接で気持ちが高ぶって泣いてしまうかもしれない。職歴の説明はやな奴のことを思い浮かべよう。絶対見返してやるんだ。

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