Chiptune #2 セガAtari,DEMO(セガ辺りでも...)
ソノシート
beepという雑誌あった。SOFTBANKの雑誌でパソコンゲームをターゲットにしていた。それ以前からパソコンのゲーム系ホビー雑誌にはテクノポリスやマイコンBASICマガジンがあり、ゲーム雑誌ではアスキーから別冊ログインが月間化された。その後コンプティークも発売されされだがbeepはログインのようにアスキー譲りのレイアウトなどが洗練されたものでもなく、コンプティークのように華々しくもなく、なんとなく表紙もダサく紙面の紙質もそこそこな感じがした。簡単に言うとパッと見はさえない感じ。しかし内容は珠玉混合というか、幅広くゲームカルチャーを捉えていたものだった。セガのことや#1にも書いたSeeNaの作者のたいにゃんさんの連載などもあった。ゲーム音楽もフォローされていてそれは後に付録のソノシートというものに結実した。ゲーム音楽の音源は細野晴臣さんがプロデュースしたビデオ・ゲーム・ミュージックやスーパーゼビウスが出ていたし、G.M.O.レーベルもあったかもしれない。それでもそのソノシートはゲーム音楽のまた新しい地平を見せてくれた。それがとても素晴らしく、ゲームセンターの生の音を聞いていても本当の音源を聞くことで、直接的な音楽として捉えられたように思う。
QUARTET - 林克洋
beepのソノシートで印象深かったのはやはり第一弾だ。セガのアーケードゲームが収録されていた。その中で先ずはカルテット。第一弾ということだからか気合も入っていたのか、スペースハリアーやファンタジーゾーンのような人気のゲーム音楽も収録されていた。カルテットはそれらよりマイナーなゲームの気がしてたのだけど、四人プレイとか目新しさもありアクションシューティングとして楽しめた。その要素には軽快な音楽が重要だった。そしてソノシートではその音源から直接聞くことができた。ゲームセンターでは体験していたが音源から直接聞くのとは違う。曲はファンキーK.H.さん。林克洋さんだが、多分紙面かスリーブというかエンベロープにはそう書いてあった。聞いてみると確かにファンキーなベースとかすごい。ゲームセンターではよく聞こえなかった音もソノシートでは聞こえる。ソノシートに入っていたのはRound1とRound10らしくRound10は未体験なので全く知らなかった。しかしこの曲がまたファンキーだった。DACによるPCM再生で声が鳴る。音楽に載せてまるでラップのように。プレイで知らなかった面なのでソノシートで聞き驚いた。その体験があるとゲーム音楽という以前に単に音楽として感じる。レコードやソノシートからの体験はゲーム音楽の認識を一段と上げてくれた。ソノシートで体験したRound1-2の始まるワクワク感、FM音源っぽい金属感漂うメロディーにハッとする。ファンキーなベースやシンセドラムのタムがすごく、これらはカルテットの曲全部に言える。Round3-4はAメロの裏メロがとても好きだ。Bメロのキラキラした旋律、やっぱりファンキーなベースもあってカルテットの中で一番好きかも。Round5-6は流れるような少し不安なメロディが好きで、特に途中からの三連符が連なる所、そこが好きなんだと思う。この感じはあまり聞いたことがないような気がしたし、続けて聞くとRound3-4のところに書いた一番好きかもなんて実はないという気がする。すべてが好きだ。Round10はソノシートでも聞いたファンキーラップ。セセセセセセィガで始まるファンキーすぎるラップにはとても驚いた。そして最高だった。当時はここまでノリノリのラップというのを聞いたことがなかった。少しだけだけど日本的日本語ラップを聞いていたのでこの曲の突き抜け感は違った。そしてRoudClearのファンファーレですべてが収まるような素晴らしい曲たち。これらすべて何度もループ聞いていたい。いや聞いている。
スペースハリアーII - 上保徳彦
上記のソノシートに入っていたスペースハリアーは夢に見るほどゲームセンターでやった。ハングオンの後に出たセガの大型体感筐体で、ハングオンの操作が苦手で車ゲーやシューティングが好きだったので出たときには飛びついた。朝からゲームセンターに入り浸っていたような。友人はお年玉をスペースハリアーにすべて費やしたとか言っていた。彼のプレイ中疲れたときなど、筐体の右端にあるショットボタンの連打も担当していたりした。画面も音楽も最高で、セガ・マークIIIに移植されたときはBeepなどを読み、欲しい気持ちが高まった。だが当初からアーケード派だったのでファミコンは眼中になかったとしても、セガ・マークIIIすら買う気はなく過ごしていた。SG-1000を長期間友達から借りていたので家庭用ゲーム機はそれまでのイメージだった。しかし少しだけ時が経ちメガドライブの発売となる。しかもローンチタイトルにスペースハリアーが入っている。しかもII。自分の中で何かが変わった。メガドライブである。ビジュアルショックである。スピードショックである。サウンドショックである。そりゃ最高でしょセガだしね、である。しかもスペースハリアーII。買うでしょ。獣王記、買うでしょ。である。そしてそうなった。肝心のスペースハリアーIIは、スペースハリアーと比べれば画面は貧弱だし構成も少しチープに感じる。ユーライアが出てこないのも残念だったが、オリジナルの敵や音楽、そのスペースハリアーとは違う世界観にもハマった。逆スピードショックとかあってスペースハリアーより簡単だったので長くは遊んでないが、とても印象に残っていて遊び終えたあとも思い出したように遊んだ。音楽のせいかもとも思っている。印象的な音楽だが曲は上保徳彦さん。いわゆるBoさんだ。Hiro師匠がスペースハリアーの曲でBoさんがスペースハリアーIIというこの流れ。アーケードとコンシューマの道というのがあるのかもしれないが、セガの人として最高だ。曲はタイトルのMotionから引き込まれた。不協和音やリズム、ずれというものが好きなのでこういう曲もすんなり入ってきた。これは作曲なのか、それともプログラム的にずらしたりしているのかと思い何時間もかけっぱなして聞いたこともある。それほど興味深く好きな曲。ステージのBGMは同じ曲が多かったけど、各ボスにBGMが割り当てられていて気合は入っていた。そして七面の曲、Perspectiveも印象に残っている。さわやかなユーライアのいないボーナスステージが済み、次のボスもキモいがさわやかサウンドだった。しかしその次の七面のボスは少しおどろおどろしい始まりで恐怖を演出したような曲。パッケージの絵に描いてある敵がそうなのかなとも思う。途中から鳴り続ける四分音符のアラート的な音色が続くのも気分を盛り上げる。決して派手ではないが好きな曲だった。そして最後のIllusion。清々しい終わりという感じが出てて好きだ。メガドライブ最初期のゲームなのでサウンドも手探りだったのかもしれない。全編通して粘着力のあるようなスネアの音が印象的で音色やエフェクトも凝ってない。しかしそのシンプルな中にスペースハリアーがある気がする。そしてそれがメガドライブの始まりだった。
ファンタジーゾーン - 川口博史
ゲームセンターではとても有名で、見た瞬間目を引くグラフィックが特徴だった。シューティングゲームなのだけど、それに似合わないカラフルでかわいいキャラクターには魅力があり、敵を倒してコインを入手し、ショップでパワーアップするというシステム、サンバサウンドの明快さ等で人気ゲームだった。稼働初期はゲームセンターでもいつも筐体が塞がってたと記憶してる。あの画面を見るとセガのコアランド製ゲームのフォントを思い出してしまう。いやどうでもいいですが。そして、ウォウカムトゥザフェーンタシーゾーン、ゲットレディ。といえばスペースハリアーだが、なぜそうなのかその言葉を知った時から思っている。世界がつながっているようには見えないし、システム基板が違うけど色使いが似てるからなのか、それはゲーム内世界を共有してるのか、とか色々考える。それもどうでもいいですが。上記のソノシートにはファンタジーゾーンの曲は三曲入っていたが、それも含めて全曲素晴らしく、音色もFM音源らしい高音が心地よく、ベースの低音は太さを感じる。作曲はすべて川口博史さん、Hiro師匠だ。ソノシートにも入っていたOPA-OPA!は一面の曲なので有名だしガツンとくる。そして二面のKEEP ON THE BEATがオルガンの音色、ベースの音、シンセドラムのタム的な音、アグレッシブなメロディ、と好きなんだ。曲自体二面で新たな始まりを感じるような出だし、元気のいい曲、もちろんこれも好きなゲームだから今までと同じように全曲好きだけど、やっぱ中でもというのもある。だからはKEEP ON THE BEATは好きだ。でももっと、最高に好きなのは五面のHOT SNOW。この曲が好きなんだ。後に買ったレコードに収録されていたUS版のメロディ付きではない日本版の静かなバージョンが好きだ。静かな伴奏とパーカッションと太いベース。そしてラテンホイッスル。これだけ。これだけで最高なんだ。なぜこの曲が好きなのか自分でも分からないけど、静かだけどうきうきしているような、そんな感じが世界観に合うのかな。これはかなり繰り返しいつまでも聞くような、自作のコンピに入れてるような、そんな好きな曲だ。またソノシートにもあった最終面のYA-DA-YOはこのゲームの最終面らしき意味の歌詞がついていた。簡単なので今でもほとんどを歌えるけどネタバレっぽいというか、それを書いても大した意味はないというか、そんな感じ。しかしこのゲームを締めくくる面でこの題名の音楽、これがファンタジーゾーンなんだなと思う。全体的にパステル調のかわいらしいゲームだけど音楽はラテンでノリノリ。そういうシューティングらしいシューティング。買い物でパワーアップというギミックも新しく楽しめた。エンディングのVICTORY WAYにはジーンとしてしまう。さすがHiro師匠。さすがFM音源。なんて言いたいな。おまけにネット上ですごい方がアーケード版ファンタジーゾーンの曲をメガドライブに移植していましたので載せます。メガドライブには移植されなかったけどサン電子からスーパーファンタジーゾーンが出た。持ってたけどそんなに遊ばなかったかな。
メガドライブ版ファンタジーゾーン - BGM全曲集(メガドラ2実機)
Thunderdome - Ultrasyd
Atari STが好きだった。同時期に発売されたAmigaのようにグラフィックの派手さはなかったけどMIDIポートが標準装備だった。Macを始めとして68000マシンが出てきた頃でAmigaもAtari STも同様だった。どっちも実機を触ったことはないが、AmigaはデモやMOD、ビデオトースター等で有名になった。ゲームもそうかな。Atari STはそこまで有名ではなかったが、一度だけTVで見たことがある。それはDREAMS COME TRUEの中村正人さんがステージで使っていた。そんな光景だったように思う。記憶というのは曖昧なもので、願望が出ているのかもしれない。しかも中村正人さんはセガ的にソニック・ザ・ヘッジホッグの人なのでさらに願望は加速されてしまうのかも。それはそれとして、Atari STだが、AmigaのMODを聞くように、Atari STのSNDHも聞いている。AmigaのMODのコンポーザーの流れからハマっていたこともあった。MODよりもより単純なPSGのYM2149Fなので表現力の限られている分、いろいろなテクニックがあり、それによって新しいものが生まれてきたりする。そういうものも好きだし、そうでないオーソドックスなものも好きだ。今回の曲は2014年のCheckpointというドイツ人中心のグループのDEMOの曲。最近だけあってDEMOもすごい。前半はストリームでデジタル音楽を流しているようだが、聞きどころは中後半のこの曲だ。Ultrasydさんの曲だが、跳ねるような、鼓動のようなリズムがとてもいい。PSG三音でやっていることを考えると、私にテクニックや音楽のことは分からないが、とても複雑なことをやっていそうだ。一部を除いて最初からずっと聞こえるキュンキュンいうフレーズは、途中で途切れることもあるが、それをうまくカバーしているように聞こえる。これがそういう曲なのか、それとも三音の限界で止まってしまうのをうまくカバーしているのか、それは分からない。でもそれらの様々なことを感じつつも、ただ聞いているだけでいい。それだけでかなりアグレッシブになれる。そしてかなり幸せになれるのだ。
Thunderdome by Checkpoint (Atari ST demo) 1080p 50FPS
追記 : 知らぬ間にここで触れている雑誌のbeepが、新しいwebマガジンとなり、このnoteで刊行するようだ。気づくのが遅すぎた。しかし発刊には間に合いそうだ。
体が動かないとき、自己の刃が自分を貫いた時、どうしようもないときに、こういう音楽を聞いていたい。それでどうなるわけでなくても、こういうアグレッシブなChiptuneを聞けば、少しは目が開くかも。体を重力に対して垂直にしようという気も起きるかも。元気が出る曲なのかも。そういう音楽に触れられるのは最高だ。
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