37 適応障害治療中の朝【妻と見た人生の雨と虹】
昨晩、薬を飲まなかった。忘れたというより、ただ面倒でやめてしまっただけ。
結果は予想通り。眠りが浅く、夜中に目が覚めた。そしてまた、嫌な記憶が頭の中にフラッシュバックしてきた。
「もうこの繰り返しはやめたい。」
そう思いながら、やっぱり薬の大切さを改めて実感する朝を迎えた。
元気が出ないままベッドに横たわっていると、妻が話しかけてきた。
最初は何でもない会話。それでも少し救われた気がした。
そして次の瞬間、彼女が急いで僕を呼ぶ声がした。「何だろう?」と思いながら窓の外を見てみると、そこには大きくて鮮やかな虹がかかっていた。
虹を見られたこと自体も嬉しかったけれど、それ以上に心を温かくしてくれたのは、妻が「これを一緒に見よう」と思ってくれた気持ちだった。
その瞬間、ふと思った。
人生には雨が降る。時に土砂降りで、傘をさしても濡れてしまうほどの大雨だってある。
でも、その雨が小雨になり、やがて晴れてくると、そこに虹が現れる。
ここ数ヶ月、僕の心には長い雨が降り続いていた。今も完全に晴れたわけではないけれど、少しずつ空が明るくなってきたように思う。そして、その中で妻のような人が僕の虹になってくれている。
調子が悪い日も、薬を飲み忘れてしまった夜も、苦しい記憶に悩まされる瞬間もある。
それでも、そばにいてくれる人がいること、そんな人を大切に思える自分がいることが、僕にとっての希望だ。