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ハラスメントを許さない組織作り
「研修なんて形だけで意味ない」と思う方もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。
ハラスメントを許さない組織風土を育てることと研修を組み合わせることで、意識改革が可能になることもあるのです。
今回は、ハラスメント研修の効果を高める方法と、それを組織文化にどう活かすかを掘り下げてみます。
ハラスメント研修だけではなぜ不十分なのか?
研修だけでは限界がある理由、それは一時的な情報提供で終わりがちだからです。以下のような問題点がよく見られます:
受講者の意識にギャップ 悪気なくハラスメントをしている人にとって、研修は「他人事」になりがちです。また、意図的にハラスメントをしている人にとっては、「形式だけやればいい」と考えることもあります。
行動変形を促す仕組みがない 研修で知識を得ても、日常業務に戻ると元の行動に戻ってしまうケースが多々あります。
つまり、研修の効果を最大限に引き出すには、組織全体の取り組みと風土づくりが欠かせません。
ハラスメントを許さない組織風土の重要性
「風土」とは、言い換えれば「暗黙のルール」や「常識」のことです。ハラスメントを許さない風土を持つ組織では、次のような特徴があります。
部下の意見が尊重される 心理的安全性の高い環境では、部下が問題を上司に報告しやすくなります。
透明性のある評価制度 上司が権力を濫用しにくい仕組みが整っています。
全員が同じ基準を共有 「これがハラスメントだ」「この行動は許されない」と全社員が理解しています。
風土づくりのカギは、組織全体でハラスメント防止に取り組むという「メッセージ」を強く発信することです。
組織風土づくりと研修を結びつける実践方法
研修を実施しつつ、組織の文化を変えるためには、次の3つのステップが有効です。
ステップ1:トップダウンで本気度を示す
経営陣が「ハラスメント撲滅」を明確に宣言することで、全社員にその重要性を周知させます。特に、トップが研修に参加することで、社員に「これは大事な問題だ」と伝わります。
ステップ2:社員が参加するルールづくり
社員がハラスメントについて意見を出し合い、社内ルールを共に作ることで、自分事として捉えやすくなります。たとえば、匿名アンケートを実施して意見を集めるのも効果的です。
ステップ3:行動を可視化する評価システム
ハラスメント防止に貢献した社員を評価する仕組みを作りましょう。これにより、ポジティブな行動が奨励され、組織全体の意識が変わります。
小規模な会社でも取り組める具体的な施策
小規模な会社でも無理なく実施できる、現実的な施策を以下にまとめました。
1. シンプルで分かりやすいハラスメントポリシーの策定
小規模な会社においても、ハラスメントを明確に定義し、その対応方針をまとめた簡潔なポリシーを策定しましょう。ポリシーは以下のポイントを盛り込むと効果的です:
ハラスメントの定義:具体的な行動例(例:不適切な叱責、差別的発など)はもちろん、相手の立場、置かれている状況、仕事の内容を理解せずに否定や非難をすることすることもハラスメントになることを説明。
相談窓口と対処手順:相談の際のプロセスを簡潔に説明。
守秘義務の徹底:相談者が不利益を被らないよう配慮。
ポリシーは1〜2ページ程度にまとめ、全従業員に配布して説明する場を設けましょう。
2. 「ありがとう」を伝える文化づくり
ポジティブな職場環境を醸成するために、日々の感謝や称賛を共有する仕組みを導入しましょう。たとえば:
感謝カードの導入:社員が同僚に感謝を伝えるカードやメッセージを気軽に送れる仕組みを作る。
定例ミーティングでの称賛タイム:週次や月次のミーティングで、良い行動や成果を共有する時間を設ける。
これにより、社員同士の信頼関係が強まり、ネガティブな行動を未然に防ぐ効果があります。
3. 気軽に始められる研修の実施
手軽に取り入れられるリソースを活用し、ハラスメント防止研修を行いましょう。
公的機関が提供する資料や動画:厚生労働省のリーフレットやYouTubeの研修動画を活用。
簡単なロールプレイング:具体的な場面を想定し、社員同士で適切な対応を練習する。
クイズ形式の学習:ハラスメントの事例や対応策について、クイズ形式で学びを深める。
4. 外部ファシリテーターによる具体的な対話セッション
外部の専門家を招き、「職場改善のアイデアを出す」ことをテーマに対話セッションを行います。セッションは以下のステップで進めると効果的です:
働きやすい職場の具体例を共有:成功例やポジティブな取り組みを紹介してもらい、参加者にイメージを持たせます。
各参加者が感じる職場の良い点を共有:小さな良い点でも挙げることで、前向きな視点を育みます。
改善提案を出し合う:ポジティブな方向性を維持しながら、全員で現状をより良くする方法を話し合います。
これにより、社員が主体的に職場環境を改善する意識を持つことが期待できます。
まとめ:研修、風土改革でハラスメントゼロを目指しましょう
ハラスメント防止は、規模の小さい会社でも取り組める課題です。
ポイントは、シンプルかつ現実的な施策を取り入れ、従業員全員で共有すること。
研修やポリシー策定に加え、日々のコミュニケーションを大切にすることで、心理的安全性を高めることができます。
経営陣から現場の社員まで、一体となって取り組むことで、ハラスメントのない職場を実現できます。一歩ずつ、できることから始めていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。