みょうがを大人になると食べられるのはなぜ?栄養成分と香りの正体
こんにちは。漬け物研究家の漬けもナーです。
今回は子どものころ苦手だった「あの食材」の話。
なぜ大人になるとみょうがが美味しくなるのか
「大人になるってどういうこと?」
子どもに純粋な目で尋ねられたとき、大人はどんな風に答えるべきなのだろうか。
■大人になるとは「みょうがを美味しく食べられる」ということだ
「ケンカしたお友達を許せること」
「自分のお金で暮らすこと」
「自分で責任を取ること」
どれも間違いではないのかもしれないが、
より本質を深くついているのは
「みょうがを美味しく食べられるようになること」
だ。
みょうがはピーマンやニンジンのように、無理をしてまで食べなくてもよい。
それに、香りが強すぎてほかの食材まで支配されてしまう。
なのに、どうして大人は好んでみょうがを食べるのだろうか。
■味覚は鈍るが感覚は複雑化する
それは、年齢を重ねるごとに、味覚が複雑化するためではないだろうか。
一般的に、甘みや酸味、苦みといった味覚は、幼い子どものほうが優れているとされる。
それは、生まれたばかりのほうが「味蕾(みらい)」の数が多いためだ。
大人になるほど味蕾の数が減少するため、味覚は鈍ってしまうのである。
しかし、年齢を重ねるにつれて、味覚には多様な種類の補助効果が働くこととなる。
「身体によさそう」「油分がリセットされる」「リラックスできる香り」など、個人の経験に基づく補助魔法がかかり、味覚が複雑化していくのである。
大人になるとコーヒーやビールが好まれるのは、その最たる例ではないだろうか。
そして、これらと同じように味覚の変化を感じられる代表的な食材こそが、みょうがなのである。
みょうがの栄養成分と香りの正体
では、具体的にみょうがの何が大人に好まれるのだろうか。
■みょうがの歴史
みょうがはショウガ科の野菜であり、主に温帯地域で育てられる。
古くは魏志倭人伝(208~297)や延喜式(905~927)にも記載があり、伝統的に宮中の料理で用いられてきたとされている。
■みょうがの栄養成分
みょうがは90%以上が水分でできているが、次のような栄養成分を豊富に含んでいる。
カリウム
食物繊維
マグネシウム
ビタミンB1、ビタミンC
葉酸
鉄
特にカリウムの含有量が多く、余計なナトリウムを排出する働きがあることから、むくみや高血圧の予防に効果があるとされる。
■機能性成分と香り成分
みょうがには豊富な機能性成分も含まれている。
そのうちの1つが、ストレス緩和や発汗促進、消化促進効果を持つ「α-ピネン」である。
α-ピネンはみょうがの香りの正体でもあり、ヒノキやスギといった針葉樹にも含まれている。
森林浴をしたときの「リラックスできるような香り」を生み出す重要な成分だ。
ほかにも、抗炎症作用のある「カンフェン」、抗菌・解毒作用のある「ミョウガジアール」など、独特の成分が含まれている。
また、みょうがの赤い色素の正体は「アントシアニン」だ。
みょうがの漬け物の種類
あまり知られていないが、みょうがは漬け物の食材として非常に優秀なポテンシャルを持っている。
■みょうがのピクルス
みょうがを使った代表的な漬け物と言えば「ピクルス」である。
あっさりとした甘酢と、香りの強いみょうがの組み合わせは絶妙であり、和食にも洋食にもピッタリな一品に仕上がる。
■みょうがの佃煮風漬け物
みょうがにしょうが、にんにく、唐辛子を加え、醬油と甘酢で漬ける。醤油が加わることで、より和のテイストが強まり、強力なご飯のお供が誕生する。
■みょうがのぬか漬け
あまり市販されていないが、みょうがはぬか漬けにしてもかなりいける。作り方は塩もみしたみょうがをぬか床に漬けるだけだが、半分に切るほうが仕上がりはは早くなる。
十分に乳酸発酵させることで辛みが消え、香りと酸味の絶妙なハーモニーを楽しめるようになる。
みょうがは単なる薬味ではない。
漬け物にすれば、食卓で抜群の存在感を放つ飛び道具となる。
マイナーゆえに完成品が市販されるケースは少ないが、手間をかけて自分で漬ける価値は十分にあると言えるだろう。
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