![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/109377392/rectangle_large_type_2_0456631d1146773fd9d5565449985611.png?width=1200)
Photo by
tomekantyou1
無題
海の中で、逃げる光を掴もうとする。切り開いたような目の縁に、金魚鉢で共食いする金魚、横笛、青い葉っぱ。美しいもの、美しくないもの。それらはその肩甲骨を上げ下げして、舐めたことのない白い唇に、同じような石ころを詰め込んで、その水溜りの底深く突き落とすようなこと。
あるいは、挨拶をしない大きな鮫のようなもの。その鱗のかがやき。聖書の文字が透けて見えるパイ生地で、りんごだかざくろだか、金魚だか、さくらんぼだか、そういったものにより一層甘い味をつけて、そっと包み、恐る恐るナイフを入れ、中身をかき混ぜ、結局はあなたに噛まれたところが酷く痛むのです。
06.27