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無題
半端でツヤツヤしたお月様が出ていたので写真に撮ろうとしたら、案の定遠くの白い星か、できたばかりの胎児のようなぼんやりした光にしかならない。
それで湯船に浸かりながら頬杖をついて、あれこれ考えたり悩んだりふふふと笑ったり歌ったりしていた。入浴剤入れればよかったな。マンドポップを流しながら楽しい出来事を思い浮かべたらちょっと寂しくなった。頭の中でカレンダーを広げて、一つずつ赤いペンでチェックを入れる。待ち遠しいことは余裕そうな少し腹の立つ顔でゆったり構えているのに、私といえば額に玉の汗を浮かばせながら駆け足で追いかけてしまう。だから寂しいのだ。私と待ち遠しいことの間には温度と時間の壁があって、外気と湯船と似ているのだ。少なくともぼーっとしていると頭の中はそんなようなものでいっぱいになっている。