青春時代 第8話
合宿当日。
みんながそれぞれ宿泊準備をして集まった。
荷物は体育館の奥にある宿泊施設に置いておき、いよいよ特訓の開始だ。
と、その前に、俺の方から、今回の特訓に一緒に付き合ってもらう事になったOBのH先輩を紹介します。
H先輩は俺の友達のお姉さんで、たまたま別なイベントで以前から知り合っており、今日の事を聞きつけて、応援に来てくれました!よろしくオネシャス!
では、改めて特訓開始!
まずは先輩に一通り見てもらうために、最初から最後まで流した。
色々なところを厳しく突っ込んでくる先輩。
なるほど確かに。
突っ込まれたところは繰り返し繰り返し、演技を続け、改善していく。
だんだんと指導も力が入りヒートアップしていった。
途中、休憩や食事を挟んではいるものの、気がつくともう夜中になっていた。
流石にみんなの顔には疲労感が隠せない。
俺も疲れてるけど、やれるところまではやりたいと思っていた矢先、ヒロインの彼女が突然しゃがみこんでしまった。
そして舞台の袖まで小走りで移動すると、縮こまってシクシクと泣き出した。
俺はどうすればいいのか混乱するばかり。
何をしてあげればいいんだ?
部長だろ?
ちょっとは気の利いた事くらいしろよ?
混乱しながらフラフラと彼女の方へと近づき、隣にチョコンと座った。そして正面を見ながら、勇気を出して、彼女の肩へ手を回して見た。
何か言おうと思ったけど、何の言葉も思いつかなかった。
悔しかった。
彼女が泣き止みますようにと願うしか無かった。
どれだけ時間が経ったか覚えて無い。
多分そんなに長くはなかったと思う。
彼女が泣き止んだ。
俺は手を戻して、彼女を見てみた。
彼女もこっちを見てた。
「…ぁりがと」
微かな声でそう言った様な気がした。
また、正面を向いて、じっとしてたら、彼女が立ち上がって舞台に戻っていった。俺も慌てて戻った。
彼女が先輩に謝ってた。
先輩も今日はもう遅いから明日続きをやろうと言う話で終えた。
みんなが宿泊施設に戻って行こうとした時、ヌー先生が体育館に大量のおにぎりを抱えて入ってきた。
「おーい!夜食を持ってきたヌー!!」
みんなが何故だか大笑いした。