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墳活 (古墳活動)
「墳活」(ふんかつ)。古墳活動の略語らしい。一般的には、古墳を見学しに行くことを指します。
「墳写」(ふんしゃ)。古墳の写真を撮ること。
私が古墳に興味をもったのは、図書館で見かけた古墳探訪の本を手にとった時でした。
自宅の近所に、全国的に見ても巨大な円墳があることを知りました。車を走らせれば、数十分で行ける距離にあるので、図書館を出たあと、すぐに見学に行きました。「笑っていいとも!」が終了することを知った頃なので、今から10年ほど前のことです。
それ以降、ゆうに100基を超える古墳を見に行っているはずです。見学するたびに、「古墳探訪ノート」に古墳を見た感想を手書きで残しました。
古墳見学をした時には、古墳探訪ノートに所在地や現地看板の内容、見た目の地形、駐車場の有無などを書き込んでいました。
最初の見に行った古墳は、国指定史跡の古墳だったこともあり、駐車スペースがありました。しかし、いくつか古墳探訪を繰り返すうちに、徒歩でしか近づけない古墳のほうが多いことを知り、事前に周囲の様子を地図で確認してから行くようになりました*。
*中には、すでに堙滅していて、現地に行っても古墳がない!ということもありました。
主に日帰りで行けそうなところから攻めて行きました。事前にお目当ての古墳の位置をナビに入力してから出掛けることを繰り返すうちに、ランダムに選んでいるはずの古墳が線上に並ぶことに気がつきました。今から思えば当然のことなのですが、古墳は川の付近に築造されることが多いのです。ナビに登録した点と点を結んだ曲線は、川の流れに沿ったものでした。
地域によっても多少異なるとは思いますが、古墳の所在する場所は、現在では田んぼが広がっているところが多いです。時代は変わっても、水は生きていく上で欠かせないものですし、水が豊かところは稲作など、農業に適したところですね。
私が見に行った古墳は、北関東、東京、福島に所在するものがほとんどですが、国分寺、国府、総社など、歴史を想起させるような地名も多かった印象があります。
古墳時代とは、弥生時代と飛鳥時代の間の時代ですが、古墳があるところには、他の時代の遺跡が近くにあることも多いです。
これも当然と言えば当然のこと。人にとって住みやすいところは、時代が変わっても大きく変わることはありませんからね。
古墳見学が目的で出掛けたのに、貝塚や国分寺跡という遺跡もついでに見学したこともありました。
墳活しているうちに、古墳そのものへの興味のほかに、地名や河川、地形や地質などへの関心も高まりました。埴輪の窯跡(埴輪工場)はどこなのだろう?、石室に使われた石はどこから運ばれてきたのだろう?とか、今までに考えたことがなかったことを妄想することも増えました。
今では、事前に調べて古墳を見に行くことは減りました。最近は事前に調べるのではなく、川の辺りの地形や等高線や地名を見ながら、「この辺に古墳があったはずだ」と考えたりすることが楽しく思っています。わざわざ現地に行くのも面倒ですしね*。
*本末転倒のような気もする。
まぁ、自分の予想が当たっているかどうかをきちんと調べるときもたまにありますが、妄想だけで終わる場合も多いです。もうたくさん見たしなぁ。
古墳が築造された当時は、かなり人々の注目を浴びたことでしょう。自然が広がる中に、突如、巨大な人工物である古墳が現前するわけですから。
しかし、現在では逆になっていますね。周囲は、木が生い茂っていて、道路や建物という人工物の中に、こんもりした森のような自然物のような古墳が潜んでいることが多いですからね。
補遺
私の古墳探訪には、学術的に極めるとか、大きな目標があるわけでもありません。
しかしながら、地形への関心は大きくなりましたし、古地図を眺めたり、地名の由来をたどって調べたり、石室の石の産地はどこかと推定してみたり、「海の道」の可能性を考えたり、海流を調べてみたり….
古墳がきっかけとなり、いろいろ関心を深めた分野も多かったです。
また、意外なところで役立ったのは、ハザードマップです。等高線を見ていると、目がチカチカするのですが、ハザードマップは地形を知るにはもってこいです。今のところ、古墳探訪による実益はありませんけどね。古墳探訪の副産物は多かったです。
そのほかだと、教育委員会とか宮内庁への関心もわきました。古墳を管轄していますから。
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