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「A=B」と「B=A」は同じだろうか?
時は金なり、---という諺があるが、古今東西を通じてこれくらい卑俗な諺もあるまい。しかし、これを引っくり返してみると1つの貴重な真理がえられよう、いわく、金は時なり。
ギッシング作(平井正穂訳)
「ヘンリ・ライクロフトの私記」
岩波文庫、冬24
Time is money---says the vulgarest saw known to any age or people.Turn it round about,and you get a precious truth---money is time.
George Gissing,"The Private Paper of Henry Ryecroft"
「A is B.」も「B is A.」も同じように思えるが「時は金なり」と「金は時なり」は異なる。前者は「時間を無駄にするな。働け!」、後者は「大切なのは時間なのだ。余暇を大切に!」と言っているように思える。
「は」と「=」は働きが違うようだ。
他の諺で、ニュアンスがどう変わるのか考えてみよう。
「不倫は文化だ」①
「文化は不倫だ」②
①は「不倫してもいいではないか。文化なんだから。」やや開き直った感じがする。
②は「文化とは様々なものが交じり合うことで生まれるものだ。」と解釈できそうである。
次はどうだろう?
「新しい元号は令和です」③
「令和は新しい元号です」④
③は固唾を飲んで次の元号はなんだろうと期待を持たせる言い方だが、
④はまだ心の準備ができていないうちに
「えっ、それ先言っちゃうの?」という感じがする。
結論を先にいうのはわかりやすいが、もう少し話を引っ張ってもらいたい。
「今日はこれまで。」⑤
「これまでは今日だ」⑥
Time is money and money is
time.
[QED]
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします