川の長さ・流域面積
雨が降ると、古墳が気になる。以前にも、雨と古墳のことを書いたことがある。
何年か前に、図書館の歴史コーナーにある本を眺めていて、自分の家からそれほど遠くないところに、全国的にみても大きな「円墳」があることを知ったのが、古墳に興味を持つきっかけになった。
そして、あまり有名ではなくても、ほかにもけっこう近いところに、たくさんの古墳があることを知って、できるだけ現地に赴いて見学することが趣味になった。
あとで再訪するときのために、行った古墳の位置をナビに登録してゆくと、古墳が「線上に並ぶ」ことに気づいた。地図で確認すると、古墳と川とが並列していた。そこから次第に、古墳だけでなく、川や橋にも興味が広がっていった。
「古墳あるところ川あり」
それで、ここからが今日の記事のメインテーマ。
川の大きさと言うと、「長さ」や「流域面積」で語られることが多い。なんとなく分かった気になっていたというか、そもそもあまり疑問に思ったことがなかったのだが、川の「長さ」や「面積」ってどのように定義するのだろう?
一般的に「川」というものは、水源から海に至るまで、「一本」になっているわけではない。いくつかの「支流」が大きな「本流」と交わりあいながら海に向かっていくのが普通である。たとえば、こんなような感じ(↓)。
「一本の川」ならば、海から水源までの「距離」を測れば問題ないのだが、複数の川が合流していく場合、「川の長さ」はどこを指すだろう?
細かい川も、すべて足し合わせた合計かな、と思っていたら、そうではないらしい。
いろいろ定義の仕方はあるようだが、
「川の長さ」とは、海から水源までをたどって行って、「最も長い距離」のもの
というのが、一般的な定義のようだ。
う~ん。一応は納得したのだが、「水源」ってそもそもそんなに容易く分かるものだろうか?指を差して「ここ」と言える場合もあるかもしれないが、最初の川の「一滴目はこれです!」なんて言えそうにない。季節や天候によっても、一定しないだろう。ある程度は、「推測・推計」の要素を含むものが「川の長さ」なのだろう。
「流域面積」ってなんだ?
「流域面積」も分かっているようで分かっていなかった。「『流域面積』っつーのは、『川の面積』のだろー」って思っていた。
では「川の面積」とは何だろう?
単純に「川の水が地表をカバーする面積」と思っていたが、とんでもない誤解だった。
たとえば、私が中学生のとき、「日本最長の川が『信濃川』で、日本最大の流域面積をもつ川が『利根川』です」と教わったのだが、利根川の流域面積を地図帳(「新詳高等地図」、帝国書院、平成25年)で調べてみると
利根川の流域面積
16842 平方キロメートル
だと分かった。
ちょっとイメージがわきにくいので、「県の面積」を調べてみると、
栃木県 6408 平方キロメートル
群馬県 6362 平方キロメートル
埼玉県 3798 平方キロメートル
この3県の面積を合計すると
16568 平方キロメートル
である。
栃木・群馬・埼玉の3つの県の面積の合計よりも、利根川の流域面積は大きい!!
川の「流域面積」とは、水面の面積ではなく、
雨が降ったときに、その川に降雨が流れ込む地域の面積の合計のことをいう。
当たり前だと思っていたことも、意外となにも知らなかったんだなあ、と古墳探訪を通じて学ぶことができた。
今日は朝から雨が降っている。人知れず流されてゆく古墳がないことを祈る。