トイレに行きたい女神様 | #たいらとショートショート
トイレに行きたい。
私は強烈な尿意を感じた。いや、そんなはずはない。だって、さっきしてからまだ20分も経っていないではないか。
「トイレに行きたい」。気のせい気のせい。ここは心をフラットにして、目の前のことに集中しよう。
彼は目の前にいる。今日、久しぶりに会った。彼の目付きを見ると、赤い物を見た闘牛のようだ。いつの間にか、靴下も脱いでいる。今まさに上着も脱がんとしている。やる気満々だ。
当然と言えば当然。だって1ヶ月振りにようやく会えたのだから。きっと、たくさん溜め込んでいるに違いない。
彼の趣味は熟知している。「赤と黒」が好き。さすがフランス文学が好きなだけのことはある。頭の中はまるでスタンダールだ。
だから私も今日は勝負を賭けてきた。赤の服を一枚脱げば、下は黒のブラとガーターが待っている。今日の私はスタンダール仕様だ。
彼が私の赤のブラウス👚のファスナーを下ろした。私は下着だけになった。
「トイレに行きたい」。
気をそらしてしたが、第2波🌊がやってきた。今更、トイレに行きたいなんて言えない。
大丈夫。今日の彼はきっと早い。済んだら速攻トイレに駆け込もう。
…あぁ、気持ちいい。だんだん尿意を気持ちよさが上回ってきた。尿意を忘れさせてくれる。大丈夫。大丈夫。
「あっ」と彼が言った。
「えっ(*_*)?!、もう🌀」
彼はとても頑張った。だいぶ疲れている。私も冷や汗をかいていた。
私は何気なさを装いながらこう言った。
「ごめん、汗かいちゃった。あなたも喉渇いたでしょう😅。ちょっと飲み物持ってくるね😊」
そう言い残して、私は裸のまま、トイレに駆け込んだ。ぎりぎり間に合った。
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