喫茶店
まぶしいもの、銀杏の黄色に埋もれた猫の眼差し
あたたかいもの、破れたソファの上にある冬の陽差し
強かったもの、コンビニ横の喫煙所で堂々としている真冬のタンクトップ
気がかりなもの、留守番している電気毛布
ねむくなるもの、曇りの日に白く反射するアスファルト
しずかなもの、神社の後ろ姿と木目と溝
触りたいもの、ポケットの中にあるピンク色の指先
大事だったもの、早朝の珈琲の湯気向こうから帰ってこない
たぶん欲しいの、りんごを皮剥いて食べる普通の日
さめてしまったかも、書きはじめに飲んでいた一杯、カップの口紅痕