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夜汽車になって 白煙を吐く さむいさむい 夜を歩く 滲む三日月 とおく向こうに 届くかしらと …
あかるい部屋が、夜を越える 壁の服たちがそれぞれの思い出を語り始めたら わたしはじっと身…
いっぱいいっぱいの愛が珈琲カップに注がれて 安堵の眠気が 甘くするりと粘膜を通る あのね…
古本屋のあの子 きれいだった 伏せたまぶたにあたたかさが透けていた 見惚れていたら 風が言…
前髪吹き抜け耳たぶをまわる ふわふわうなじの 産毛洗う風 あの子 僕の指をくわえて逃げた …
つめたく白い横顔と動かない目 あなたが持つたばこは暖かい火が灯ってて つめたく白い横顔と…
低くあたたかい声が聴こえる わたしの言葉を繰り返している 君が何思うか知らないけれど 濃いまつげは何透かすのか 見てみたいな 低くおだやかなつぶやきが聴こえる わたしはすぐに笑ってしまう きっといつまでも分かりやしないけれど 君の紡ぐことばを 辿りたいな 低く心地よい歌が聴こえる わたしのこころを優しく揺らして眠る いつかふかく安らいだ底から目を覚ましても 低くやさしく くるんでね ちかくとおく 枕元にいてね
すこし曇りの夏の今日 あの子を迎えに行こうと思っている 口はきゅっと一文字 駅でひとり ひ…
愛しい人の胸が上下している まどろむ夜の しづかな空気よ 眠れないわたしの 理由は知らなく…
わたしが望むこと 草の上で躊躇せず寝ころんで 葉の先をくすぐったがりながら 君よ 星は見れな…
急に近くなった空の青さを 瞼の裏に見る あなたの横顔に 問いたいのは 夏は繰り返すのかと…
目の前に差し出されたサニーレタス 無意識に咥えた彼女 いたずらで口元までもって来てしまっ…
小さかったときのことを 色々と 思い出して 泣いた 小さいときと同じように 口を開けて、平和…
2LDK 家賃4万2千円 水色のアパートに 福耳の父さん 外が真っ暗な朝 野菜と猫の待つ畑へ向かおうと 玄関にたつ 朝の暗やみは 空気を濡らして向かいの木々を撫でる ドアを開ける父さんに気づいて 小さいわたしが起きるころ 母さんが慌てるころ アパートの角部屋 別々の窓の外で しずかに朝の準備がすすむ 小さいわたしが泣いて 父さんについていこうとする時間に ベランダの窓には 眠そうにきれいな薄白の月 藍色の西に溶け込んでおやすみをつぶやき 台所の窓には 葉っぱの先端 桃