【殺人鬼フジコの衝動】真梨幸子
※インスタに投稿した記事より、一部加筆修正してお届けいたします。
インスタのタイムラインでよく見掛ける本で、興味をそそるタイトルに惹かれていたところ、たまたま図書館で見つけたので、手にしてみました。
でも、どうなんだろう……個人的には、あまり好みじゃなかったかな、というのが正直な感想です。それで終わってもいいのですが、あまりにも素っ気ないので、今回も長文レビューにします🙇♀️
色んな方のレビューをチラ見した限りですと、「イヤミス」「エログロ」という単語が飛び交っておりました。でも、幸か不幸か、基本的に私はイヤミスもエログロも耐性のある方なので、その点では特に拒否反応はありませんでした。
実際、イヤミス指数は湊かなえさんの『告白』の方がずっと上回っていますし、エログロ描写も大したことはありません。むしろ、(そんなつもりはないでしょうけど)もしイヤミスやエログロがウリ文句だとすれば、全然物足りないレベルだと思います。もっとすごい本は幾らでもあります。
勿論、そうじゃないのは分かってますが、あくまでイヤミスとエログロの指数として、です。
さて、この物語ですが、全体としては、主人公の藤子の半生を追うロードムービーのような、若しくはドキュメンタリーのような構成となっておりますが、残念ながら、藤子への感情移入はほぼ出来ませんでした。
まぁ、この主人公の属性上、感情移入が出来たら出来たで人間的に問題なのかもしれませんが……。
ただ、衝動的な行動も短絡的な思考も、私には嫌悪しかなく、そこに彼女なりの必然性や整合性を見出すことが出来なかったのです。
もちろん、それを表現する必要もないのかもしれませんが、だとしても、もっと藤子の内面を深く抉って欲しかったように思います。
外的要因のような家族環境、生活環境には触れてありますが、やっぱり少し物足りなく思いました。
映画『モンスター』のクリスティーナ・リッチのような、単なる浅はかな人物にしか思えず、無分別に短絡的な殺人を重ねてるだけの物語になり兼ねません。
もっとも、装飾や省略といったキャラクタ表現の過不足に拘らず、等身大のまま書くことにより、より生々しくもあり、狂気じみてると感じられるのかもしれませんが……あくまでも私は、もう少し藤子という「人間」を、ドラマチックに書いてくれた方が作品に入り込めたのに、と思いました。
ただ、子ども時代の鬱々とした学校生活、出産後の寄生旦那とネグレクトなど、妙にリアルで目を背けたくなるような描写は、胸糞悪い内容ですけど、なかなかの読み応えでした。
そして、最後の●●●●を使った演出! これはとても素晴らしく、効果的で斬新でした。
どんな形であれ、最後におぉっっ! となって終われるのは、ミステリー小説の醍醐味ですからね!
※ネタバレに配慮して、一部伏せ字にしました。
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