コンセルヴァトワールの成績表
ここで書くことは、私が実体験しているフランス地方都市の某地域圏コンセルヴァトワールの例ですので、他のコンセルヴァトワールは違う可能性はあります。
コンセルヴァトワールは毎学期成績表が送られてくる
成績とはいっても、点数でランクづけするものでは全くありません。
生徒たちがこの先の努力目標を見つけるためのもので、文で書かれたものです。これがほぼ3ヶ月に1回、保護者のところに送られてきます。まあ、学習状況を先生目線で保護者に伝える役割があるといったところでしょうか。
コンセルヴァトワールの登録にはメールアドレスが必須で、成績表を含む全ての連絡は基本的にメールに(当日の先生の欠席など緊急時は携帯SMSですが)来ます。
基本的に褒める成績表
個人レッスンの成績表は厳しいことを書かれることもありますが、私が経験している限りにおいては意地悪なことを書かれたことはありません。厳しいことの内容は本人の努力が足りない、あるいは努力の方向が間違っているから修正して欲しいといったものです。次の学期にその点の改善が見られると「良くなりました」と報告があります。
基本的に褒める成績表なので、日本人目線、音楽家目線では自宅での練習状況などを見ていると「本当にうちの息子か?」と思いたくなるような記述のことが多いです。
楽器のレッスンは、うちの子供たちのコンセルヴァトワールに関していえば課程終了試験の時以外は無試験で進級なので、年度最後の評価にも点数はつきません。
フォルマシオン・ミュジカルの評価
こちらはクラス授業で人数が多いということもあるからか、先生によって非常にバラつきがあります。書かない先生が授業で大したことをしていない、ということにはなりませんが(わかっていても文章で書くのが苦手という先生はいてもおかしくありませんしね)、細かく書いてくださる先生だと、この先何に注意して学習を進めればいいのかがわかるのでありがたいです。
フォルマシオン・ミュジカルは年度最後には進級かそのまま同じレベルに留まるかという問題があります。基本的に日本流で言えば50点を取っていれば進級です。ですから課程終了試験ではない年でも年度最後の成績表は、それまでの到達度テストや、各クラスで授業中に行った年度末試験の点数から出された年間の成績が数字で記載されます。
そもそも学校の成績表も点数の他に文章での評価がある
小学校の成績表はクラス担任からの比較的長い文章での評価が、到達度を測る表とともに渡されます。中学は授業中に行われた到達度テストの点数の平均が、各学期、科目毎の評価として点数で書かれますが、その他に担当教師が書く文章での評価もあります。点数は点数でしかありませんが、担当教師の文章での評価は今後の学習に役立てるためのものとなります。テストで要求された内容も書かれているので、同じ点数でも何ができて何ができなかったのかを知るために役立ちます。
つまり、フランスの小中学生の成績表は、生徒のレベルを区切るためのものではなく、生徒の今後の伸びを促すためのものであると言えます。
これと同じことがコンセルヴァトワールでも行われているといえます。
うちの長男のフォルマシオン・ミュジカルの成績表
最近は長男のフォルマシオン・ミュジカルの学習に口出しをしていないので、何ができていて何ができていないかを実は知りません。本人が時折「XXについてわかった!」というのを聞いているだけ。
つい数日前に届いた2学期の成績表はこんな感じでした。
「長男くん、上達しています(特にXXの部分)。今後はXXとXXの項目をもっとしっかり学習するとさらによくなります」
実際はもう少し細かく、授業中の状況なども書かれていますが、ここまで書かれると「何ができていて、どこが弱いのか」がわかります。最近フォルマシオン・ミュジカルは調子がいいと言ってましたので、それが本人の思い込みではないということもわかり、少しホッとしています。
習い事カテゴリーとはいえ学習なので
以前、子供にとってのコンセルヴァトワールは習い事のカテゴリーということを書きました。それでも継続的な学びを伴う習い事なので、成績表が送られてくるのは非常にありがたいことです。しかも点数でカテゴライズされるものではなくその生徒の今後の学習に役立つことが書かれているので、バックアップする保護者の立場からすると助かります。
例えば数年前、長男のフォルマシオン・ミュジカルの担当の先生は、コンセルヴァトワールで一番厳しいと言われる先生でした。その先生に「歌う時の声の出し方が悪い」と指摘された(声の質の問題を解説してもらいました)ので、私が発声練習を指導したところ、年度の終わりには「改善されました。夏休み中に歌うことをやめないように」と書かれました。この言葉がなければ私はなんとなく気づいていても意識的に改善しようとは思わなかったはずです。