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#13【トレーナー・セラピスト向け】脳振盪からの回復の落とし穴 –Be Careful of a General Information of Recovery from Concussion-

前回は「脳振盪からの回復」について、一般的に言われている内容をお伝えしました。お伝えしておきながら、タイトルに「落とし穴」って、ついてますけど…と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、一般的に言われている、結構どこにでも同じようなことが書かれている内容でも、情報の受け取り方に気をつけなければならない、ということを今日はお伝えしたいです。

参考文献を鵜呑みには ✖

Q:「なんで○○だと思いますか?」
A1:「文献にそう書いてあったからです。」
A2:「研究の結果として、そうだと言っていたからです。」

は、非常に危険です。「研究」という言葉によって、自分の考えや経験を置いておき、研究の結果のみを信じ込んでいるからです..

研究の結果はあくまで「参考」です。全く同じ被験者(対象)で、同じプロトコル(方法)で、同じような評価の仕方をすれば、「高い確率で同じような結果になる可能性がある」にしか留まりません。

例えば、研究の中の被験者とは性別が違ったら?年齢が違ったら?体格が違ったら?プロトコルが大幅に違ったら?評価の仕方が違ったら?それでも同じような結果が高い確率で表れますか?と、しっかり自問して、自分で考えて判断しなければなりません。

臨床現場で起こっていることと研究結果とのギャップ

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「ほとんどの人(80-90%)が、7-10日間で脳振盪から回復します」という言葉に疑問を抱いた瞬間がありました。それまでは、「そうなんや。だいたいそれくらいで回復するんや。」となんとなく漠然と、何の疑いもなしに思い込んでいましたが、新患で来られる患者さん、または選手のほとんどが7-10日間で脳振盪が起こる前の状態に戻っていたか、というとそうではないと感じていた時でした。一般の患者さんにとっては、初診で今週来院されたら、次回は恐らく次の週(来週)です。ここで、すでに1週間。その間に、できることは限られているし、その限られた時間の中で絶対に元の状態に戻っていたか?そうではありませんでした。もちろん、10日までに日常生活に何の問題もなく戻れた選手や患者さんもいました。でも、「ほとんど」ではありませんでした。また、受傷後1週間以上経って初めて来院された方も多く、その辺りからこの数字に少し疑問を持ち始めました。

そこで私が気づいたのが、

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