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「モノ消費」より「コト消費」のほうが満足度が高い理由を公認会計士が説明してみた!

  1. はじめに:モノ消費とコト消費の違い

  2. 金利・ローン負担が少なく、長期の負債を避けられる

  3. 資産価値の減少がなく、価値はむしろ増していく

  4. 維持・管理コストがなく、消費のシンプルさが高い

  5. 機会損失リスクが少なく、資産の流動性が保たれる

  6. まとめ:ファイナンス的に見ても「コト消費」が合理的な理由


1. はじめに:モノ消費とコト消費の違い

現代の消費行動は「モノ消費」と「コト消費」に大きく分けられます。モノ消費は車や家電といった「物」を購入する行為であり、所有することに価値が置かれます。一方、コト消費は旅行や体験イベントなど「経験」や「思い出」に重きを置く消費行動で、購入するのは体験や時間そのものです。

「コト消費」の満足度が高い理由として「思い出はプライスレス」といった感情的な価値が挙げられがちですが、ファイナンス的な視点で見てもコト消費の方が合理的で満足度が高くなりやすい点がいくつもあります。本記事では、「モノ消費」と「コト消費」をコスト面から比較し、合理的な満足度の違いについて説明します。


2. 金利・ローン負担が少なく、長期の負債を避けられる

モノ消費では高額な商品の購入時にローンを組むことが多く、これにより金利コストが発生します。例えば、300万円の車をローンで購入した場合、支払う金利が追加の負担となり、心理的なプレッシャーにもなります。また、仮にキャッシュで支払ったとしても、投資に回した場合に得られたであろうリターン、いわゆる「機会損失」が発生します。控えめに年利5%としても、年間15万円のリターンが見込まれたかもしれません。

一方、コト消費は短期的に一度支払うケースが多く、ローン負担や金利の追加支出が少ないため、ファイナンス面での負担が抑えられます。このため、無理なく消費しやすく、満足度も金銭的な負担が少ない分高まりやすいといえます。


3. 資産価値の減少がなく、価値はむしろ増していく

モノ消費には「減価償却」という概念がつきまといます。例えば、車や家電といった商品は購入した瞬間から価値が下がり、最終的には売却価格が購入額を下回るケースがほとんどです。価値の減少が心理的にマイナスとなり、満足度に影響する場合もあります。

これに対し、コト消費は体験や思い出が残り、価値が減少することがありません。むしろ、体験は年月が経つごとに「いい思い出」としての価値が増すため、心理的に満足度が高まりやすいのが特徴です。時間が経っても色あせず、後から振り返る楽しみが増えることから、コト消費は非常に合理的な価値提供を行う消費といえます。


4. 維持・管理コストがなく、消費のシンプルさが高い

モノ消費では、購入した品物を所有するための追加コストが発生します。たとえば、車を所有すればガソリン代、保険料、メンテナンス費用が必要となり、家電や家具も長く使うための点検や修理費がかかる場合が多いです。このような維持・管理にかかる費用は、購入後の満足感を少しずつ削る要因となります。

コト消費では、このような維持費が発生しないため、支出は一度限りで完結します。管理や維持に悩まされることなく、シンプルに消費を楽しめるため、ストレスフリーで後悔の少ない支出につながります。


5. 機会損失リスクが少なく、資産の流動性が保たれる

モノ消費は高額であることが多く、一度に大きな資金を使うため、その分資産の流動性が低下するリスクがあります。たとえば車や不動産のような大きな出費は、購入後の転売やリセール価値が不安定で、いざ資金が必要になったときにすぐには現金化できない可能性もあります。

コト消費は比較的小額であり、短期の支出で完結することが多いため、資産の流動性が維持されやすいのが特徴です。大きな資産の固定化を避けつつ、必要に応じて資産を他の投資や家計に割り当てやすいため、合理的な資金管理が可能です。


6. まとめ:ファイナンス的に見ても「コト消費」が合理的な理由

以上のように、「コト消費」がファイナンス面でいかに合理的であるかが明らかになりました。モノ消費には金利や維持費、減価償却などの負担がつきまとう一方、コト消費にはこれらの負担が少なく、管理コストも不要であるため、消費のシンプルさが心理的な満足度にもつながります。

「思い出はプライスレス」とよく言われますが、感情的な価値だけでなくファイナンス的な合理性を備えていることが「コト消費」の真の価値だといえるでしょう。

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