【試し読み】3話連続公開! 第2話「ぼくのおとうと」(『ラストで君は「まさか!」と言う 傑作選 トパーズの誘惑』より)
【ぼくのおとうと】
弟のリクが生まれたのは、僕が三歳の夏だった。僕は小さくて、うちに新しい家族が増えるなんてことは考えもしなかった。だから、お母さんが生まれたばかりのリクを病院から連れて帰ってきた時、僕はちょっと……ううん、すごくびっくりしたんだ。
「この子の名前はリクっていうの。仲よくしてね、ソラ」
「うん。いいよ。僕の弟なんでしょ?」
僕はお母さんの腕に抱だかれた小さな弟をのぞき込んでそう答えた。
リクはちっちゃくて弱々しくて、目を離はなしたらすぐに死んじゃいそう