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若者のすべてが聴きたくなる夜に
私的夏の終わり曲、堂々の1位を飾る、フジファブリックの若者のすべて。
私が住む場所は秋がないと言われるくらい夏から冬への移り変わりがあっという間だ。薄い長袖を来ている時期などほとんどないと言っても過言では無い。
そんな僅かな、薄い長袖を着て肌寒さを感じる秋の初めの夜は、若者のすべてが聴きたくなる。
若者のすべてを再生する。
ドラムとキーボードの音が聴こえると一気に胸がぎゅっと掴まれる。
呼吸が浅くなる。
深く呼吸をしようと意識する。
この繰り返しだ。
若者のすべてを聴くと、
嫌でも今まで経験した夏と、
そして、新たな夏がフラッシュバックする。
この夏で言えば、
忘れられない経験と出会いで溢れていた。
こんなに大切にされたことがあっただろうか、というくらい大切にされている実感があって、こんなに壊したくない、大切にしたいと思ったことがあっただろうか、というくらい大切にしたい実感がある。
そんな人がいた。
ハタチになって人と深く関わることを放棄したはずなのに。
私は1人でも強く生きていけるはずなのに。
誰にも理解されない孤独だってひとつの人生の要素だと思ってたのに。
でも、ひとりで生きていけるわけなんてなくて、結局寂しいから、でも、寂しいなんて言いたくないから、甘えたくないから、ひとりの人に頼りすぎないように、もう二度と人が離れるときの心にじわじわと広がる痛みを感じなくて済むように、いつかは周りから人が居なくなることを覚悟して、私の居場所を分散して、数え切れないくらい私が笑っていられる場所を見つけることにした。
最近元気?とか連絡したくなる人や、久しく行ってないなと思う場所が増えるから、寂しいとか、考える暇もなく、笑うことで日々が過ぎていった。
それは、凄く良かったと思う。
その一方で、押さえつけていた何かがあったことに、優しくその蓋を開けられるまで気がつかなかった。
包み隠さず素の私をさらけ出してしまって、それをしても尚、いや、それをしたから尚更、容赦なく私を優しく包み込んでくれる。
それと同時に、私も優しく包み込みたくなる、語弊があるかもしれないけれど、とにかく幸せに生きて欲しいと思う。
こんな温かい気持ちをまた私が抱くことが出来るなんて思わなかったんだ。
泣いて、泣いて、泣き喚いて、どうしようもなく、何も出来なかった、ハタチまでの私がいて、良かったのかも、と思えた。
そんな夏が、ここにあった。