今再び、物質の価値を感じる。
佇まい。
もはやこの物質からそんな感じが漂ってくる。
CDが出るとすぐさまレンタルビデオ店に行って、カセットテープに入れて聞いていたのを思い出した。
デジタルになってからというものの、音楽は物質を伴わない実質になった。
モバイル機器さえあれば聞けるのだから。
思えば、そうだ。様々な音楽が一個の機器で聞けるなんて信じられなかった。
一曲、一曲。一つ一つの書き込みメモリに入っていたわけで。
それがレコードであったり、カセットテープであったり、CDだったんだ。
音楽もまた、記憶の彼方にある思い出を引っ張り出してくれるけど
物もまた、同じように駆け巡らせてくれる。
音は朽ちず、錆びない。
が、物は朽ち果て錆びる。
しかし、その錆びは寂びを帯びてノスタルジックをもって人を感傷に浸らせるのだ。
デジタルが特化する時代でも、そういった物の愛着心や美しさを感じることは忘れたくない。
そして、今の小さきもの達:子供達にも伝えたいと感慨にふけった。
そこに。効率性や合理性は要らない。
ただ佇む事物を嗜むのである。
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