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“音なき音"を写真に宿す。「楽器の県」静岡で活躍する2人の使命(後編)|フォトクリエイト「教えて!フォトクリエイトの撮影」
フォトクリエイトでは、全国各地の吹奏楽コンクールや定期演奏会などの撮影をしています。
なかでも、「楽器のまち、音楽の都」として知られる浜松市をはじめ、静岡県は吹奏楽が盛んな地域の一つです。
そんな静岡県で吹奏楽をはじめ、多岐に渡ってフォトグラファーとして活躍する赤坂浩二さんと天野美優さんの対談インタビュー。
後編は、お二人が吹奏楽の撮影で意識する「こだわり」について、深掘りしていきます!
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【赤坂浩二(あかさか・こうじ)】愛知県出身。中学生の時にカメラを持つ。一般企業に就職後、プログラマーとして従事。その傍ら、ライターとして執筆と撮影を担当し、記事の連載もおこなう。撮影の深みに魅了され、修行を重ねてフォトグラファーとして独立。その後、フォトクリエイトでも活動を開始。現在は、静岡県を拠点としつつ、全国で吹奏楽コンクールをはじめとしたさまざまな撮影で活躍中。
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【天野美優(あまの・みゆ)】静岡県(浜松市)出身。中学、高校は吹奏楽部に所属。演奏楽器はホルン。写真学校を卒業後、フォトクリエイトに社員カメラマン(当時の呼称)として入社。はじめはスクールフォトをメインとして活動後、3年目からは吹奏楽のパート別スナップも担当。撮影の幅を広げ、翌年フリーランスとして独立。現在は全国の吹奏楽コンクールからスクールフォトまで幅広く活躍中。
前編はこちら
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──
天野さんは、フォトクリエイトに入社したときからずっと「吹奏楽の撮影をしたかった」ということでしたが、実際に撮影するようになって、うれしかったエピソードはありました?
天野さん
本当に吹奏楽が大好きなので、毎回ワクワクしているんですよ!!
あ!ただ、いろいろなエリアの撮影をさせていただけるのはとてもうれしいのですが、静岡県の吹奏楽を撮影することで、現場で恩師に会えるのはすごくうれしいですね!
コンクールの会場に行けば、知っている先生が多いので。
この前は、わたしがお世話になった先生が撮影したコンクールの事務局のメンバーになっていて、「お久しぶりです!」って感じでお話しました!
当時、わたしたち演奏者に近い目線でお話してくれたり相談に乗ってくれたりした先生なんです!
大人になってから再会できるってなんか感慨深いですよねぇ……。
──
“つながり”が活きてくるんですね。
赤坂さん
天野さんは、静岡県の西部地区とのつながりがすごいんです!
撮影の現場では、先生方はよく天野さんのことを話されていますよ。
先生方から「天野がいつもお世話になっています」なんて言われて。
天野さんとぼくは撮影仲間ですから、
「天野さんの指導係でも、なんでもないんだけどなぁ……。」なんて思っています(笑)。
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天野さん
いやいや!実際、お世話になってます(笑)!
でも、すでに先生方との関係ができているから撮影現場でのコミュニケーションがしやすいというのは大きいですね。
たとえば、撮影当日の朝、わたしが担当する屋外での集合写真やパート別スナップが悪天候で見送りになるかもしれないと連絡がありました。
でも、そうなったら演奏中の真剣な表情は届けられるけど、演奏が終わった後の笑顔は届けられない。
時間がない中でどうにかできないか?と窓口の方(かた)の名前を調べると、わたしがよく知っている先生だったんです!
直接ご連絡をして屋内での撮影を提案し、撮影することができました。
人が人とお話をする。
これってほとんどが信頼関係で成り立っていると思うんです。
なぜ?なぜ?って深掘りすれば解像感が高まってよくわかるんですけど、
信頼関係があれば、深掘りしなくてもすぐに伝わる。
わたしがお願いしていることが、
”無理強いではない、元演奏者として演奏者に届けたい想いを実現できること”
だと窓口の方(かた)に伝わったからすぐにその日の撮影ができたんだと思うんです。
最近では「天野の話なら」と言ってもらえることもあるので、それはわたしの強みだと思って撮影に臨んでいますよ。
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──
天野さんらしさがあふれていますね!赤坂さんも天野さんのような関係の先生がいらっしゃると思います。実際の現場では、どんなコミュニケーションをしていますか?
赤坂さん
どの地域でも先生方との会話を大切にしていています。
あいさつはもちろん、他愛もない話をすることもあります。
ぼくから積極的に話しかけにいきますし、
「今度ぜひ別の撮影も入らせてください!」と、いわゆる営業もします!
たいていは、あしらわれて空振りですけどね(笑)。
でも、「じゃあまたお願いします」と依頼をしていただけることもあるんです。
そうやってお声がけすると、その学校から別の学校へ口コミで「うちはフォトクリエイトさんにお願いしたよ」と紹介をしていただくこともあります。
でも、静岡県では特に先生方とより強固な結びつきができているように思います。
「フォトグラファー」と「クライアント」を超えた関係が築けているような気はしますね。
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──
「フォトグラファー」と「クライアント」を超えた関係……。
赤坂さん
撮影回数も積み重なると細かなことまで共有し合えるようになるんです。気づけば“あうんの呼吸”が成り立っているんですよね。
そんな関係だから、ぼくたちも「演奏の邪魔をしない撮影」ではなく、「より素敵な演奏ができる撮影」にグッと踏み込める。
特に天野さんは、どんな時も演奏者のことを一番に考えていますよ。
一緒にたのしんで場を盛り上げる一方で、
まわりをよく見て細かな心づかいを欠かさない。
天野さんが集合写真やパート別スナップを撮影している姿を見るとそう思います。
いくら天野さんが学生時代からの関係だとしても、フォトグラファーになった今はお仕事として先生方から慕われているのは、こういった彼女の撮影への熱意と人柄ですよ。
もう“特殊能力”と思っています(笑)。
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──
大絶賛!!
天野さん
恥ずかしいですけどね、うれしいです。
わたしとしては、特に意識しているわけではなくて、本当に自然にやっているだけなんですよ。
どんなに有名校であってもそうじゃない学校でも、コンクールは思いっきりたのしい1日にしてほしいじゃないですか。
部活動では、たのしいことだけじゃなくてつらかったこともたくさんあったと思うんです。
その部活動の結晶が演奏につまっているからこそ、真剣モードや緊張モードから解き放たれて笑顔の演奏者を届けたい。
どんなポーズで写真を撮ってもらうかを悩む時間もたのしんでほしい。
たのしんでほしいから、待ち時間の間も寒がったり暑がったりしていないか、退屈していないかとか……。気になっちゃうんですよね。
「これはこうしたほうがいい」とポーズなどのこだわりが強くなりすぎて反省することもあるんですけど、思いっきりたのしい1日にしてほしいという気持ちは大切にしていきたいです。
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──
最後に、静岡県の、そして全国の吹奏楽の撮影をする仲間の天野さんに、先輩の赤坂さんから伝えたいことはありますか?
赤坂さん
誰かが撮った写真に何かを言うことはしないので、技術的なアドバイスはありません。
現場での立ち回りなどについては、特殊能力をもつ天野さんですから言うことはないです。
ぼくからは、機材を徐々に揃えて自分に言い訳できない状況にすることかなと思います。
天野さん
ですよね……(苦笑)。
赤坂さん
天野さんの情熱・思いやりを輝かせるためにやっぱり物理的な武器は必要かなと思います。
いい武器を持つと、言葉ではなく「自分はこういう写真が撮れる」と写真で説明できますからね。
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──
「自分に言い訳できない状況」ですか?
天野さん
若手のフォトグラファーは言いがちなんですよ、「機材がないから」って。
でもわかってます。機材があれば撮影の幅が広がるんです。
吹奏楽の演奏中の撮影は、一般的に機材のスペックの高さが重要とされることが多いです。
わたしは集合写真やパート別スナップも撮影するので、今の機材のまま、今日まで来ていて。
赤坂さん
ぼくは機材のせいにはしたくない。ただ、機材マウントみたいな話が世の中にはあるので、あまり言おうとも思っていない。
でも天野さんには言ってしまうのには理由があって。
天野さんは朝から長い撮影でも、撮影する人数が多くても、
「疲れた」なんていうネガティブなことを一切言わないんですよ。
そんなスタンスで強い想いをもっている天野さんが演奏の撮影をもっとできるようになったら、天野さんが届けたい瞬間がもっとカタチになるって思うからなんです。
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──
それは、現場の天野さんを知っているからこそですよね。
赤坂さん
はい!今はまだ、もっている能力の10%くらいしか活かせていないんじゃないかな。
もっと一緒に吹奏楽を撮影していきたいですし、もっと理想をカタチにできるフォトグラファーになってほしい。これだけの想いをもっているのですから。
天野さん
ちょっとお財布と相談しながら、何から揃えるかを考えてみます(笑)!
赤坂さん
最後は機材の話を少ししましたが、改めて対談をしてみて、
写真を撮るということはただ単に物理的にシャッタを切るということではない。
機械的な動作以外の……、
たとえば、他人との関わりや想い、過去の自分との向き合い方、未来の自分への期待。
そこから生まれたきっかけや経験や失敗など、さまざまなものが詰まってはじめていい写真を生むことができるのだ!と思いました。
フォトグラファーとして、この記事を読んだ方に伝わるといいなと思います。
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先輩後輩を超えて撮影仲間として。
地元浜松への愛着や演奏者へのリスペクトに溢れる天野さんの想い。
”音なき音”を届けるスペシャリストとして妥協を許さないながらも、天野さんに絶妙な距離からアドバイスする赤坂さん。
お二人が静岡県で積み重ねてきた大きな信頼関係、そして、その信頼関係からなる撮影への想いがとても伝わりました。
この対談では、天野さんは常に明るく、赤坂さんは大人というかオンオフがしっかりされており、オフな部分では茶目っ気たっぷりにお話してくださりました。
そのおかげで、天野さんがおっしゃるような「思いっきりたのしい1日」になりました!
赤坂さん、天野さん、ありがとうございました。
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