DIYで「自分で作ってみようかな?」の原体験
僕は気になったものは自分でやってみたくなる性格です。スパイスからカレーを作ったり、ぬか床でぬか漬けを作ったり、道具を揃えてファミリーキャンプにでかけたり。ただし、一つのことを深く掘り下げる性格ではないので、「人よりちょっと詳しい」レベルで放置しているものがたくさんあります。
DIY(Do It Yourself)もその一つ、設計図を引いて、ホームセンターで木材をカットしてもらい、電動ドリルで組み立てて塗装するだけなんですが、おもちゃを入れる棚や子供の勉強机など、いろんなものを自作してきました。
曲線ってどうやってカットするんだろう?タイルの貼り方はどうするんだろう?塗料はなにを使えばいいんだろう?って、そのたび課題を作って、解決方法を調べて、実際に試してみるのが僕の楽しみポイントです。
DIYは材料のコストを抑えてシンプルに作ればうんと安くなるんですけど、集積材っていうちゃんとした木材を使うとまあまあお値段がかかります。今回作った本棚は高さ140cm×幅80cmの4段、木材と塗料を合わせて15000円ほど。はっきり言って、ネット通販で組み立て式の家具を買ったほうが安くて手軽です。
DIYのいいところは家族のコンセプトを反映できることです。前の夜に家族会議でどんな本棚にするかみんなの意見を聞きました。
僕「本棚は3段のシンプルなやつでいい?」
長男「それだと誰が一番下の段か?でケンカになりそうだから、9つに区切って縦3マス×3人が使うのがいいかも」
四男「ぼく、ケンカしないよ」
三男「3つかぁ、なに入れようかな」
次男「3つに区切ると狭くなりそうだから、いま使っている本棚と同じ幅70cmは欲しい」
妻「床にリュックが散らばるから、一番下は荷物を入れる段にしたい」
僕「じゃあ、幅80cm×4段にするか」
みたいな感じで、完成した後に「えー、こんなやつがよかったー」とひっくり返されないよう家族の同意をとっておきました。
DIYにはちょっとした原体験があります。僕の母方の祖父は造船所で工員をやっていました。お風呂を沸かす薪を使って花の鉢を並べる花壇を作るなど、身の回りのものをなんでも作っていました。僕が5歳くらいのとき、大きな金槌を渡されて、釘の打ち方を教えてくれました。僕が打つと何回やっても釘が斜めになったり途中で曲がってしまうのに、祖父が打つとバーンって大きな音がして、一発でまっすぐ打ち込まれるんですね。「すごいなぁ」って素直に尊敬しました。
父も工作が得意です。僕が中学生のとき木工制作の宿題がありました。父に「椅子を作りたいんだけどどうすればいい?」と相談すると、なぜか急に張り切って図面を引き始めました。図面だけでは飽き足らないのか、実家の隣にあった木工所を間借りして、工具を使って完璧な椅子を作ってくれました。僕はその様子を見ていただけなんですけど、おかげでその期の評価は一番良い5をもらいました。
当時の記憶ってふとした時に思い出されて、いま僕が自分で色々やりたがるのもそうした影響もあるのかなと思います。自分の子供にも、本棚のコンセプトを一緒に話し合ったシーン、電動ドリルを使って手がジーンとしびれたシーン、塗料を塗るときのツーンとした臭い、そうした体験が身体に刻まれて、何年後かのある日に「自分で作ってみようかな」って思い立ってくれたらいいなと思います。
僕が撮った、いい写真。四男が電動ドリルを使って本棚を組み立てているところです。ドリルの先端を付け替えて、下穴を開けてからネジを締め入れて固定します。力を入れて押し込まないとネジ穴で空回りするので、子供の力だと精一杯の作業です。
僕にとって「いい写真」とは、人生のかけがえない瞬間を残した写真です。
次男、三男、四男の本棚。たぶん最初は張り切ってキレイに本を並べるんだけど、あっという間にぐちゃぐちゃになって、母親から「キチンと片付けなさい!」って怒られるのが目に見えます。何年後か、この本棚が使われなくなって解体して捨てることになったとき「あのとき僕が作った棚だな」ってちょっぴり切ない気持ちになってくれたらいいなと思います。
あなたにとって「いい写真」とは何ですか?
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