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光で描く

 写真の発明者ニセフォール・ニエプスはその技法をヘリオグラフィ(héliographie) と名付けた。「太陽描画」とでも訳せばよいだろうか。よく紹介される「ル・グラの窓からの眺め」という作品は1826年頃の撮影と言われる。
 その後、銀塩写真の発明によって人工光でも撮影ができるようになり、フォトグラフ(Photograph) という用語が使われるようになった。こちらは「光描画」とでも訳せるように思う。1857年に薩摩藩主島津斉彬が日本人として初の撮影に成功した。「写真」という用語は斉彬の創作という説もあるが判然としない。
 カメラを扱っていると、フォトグラフとは「真の姿を写す」ものではないと分かってくる。光で描く絵だから、素直に「光画」と呼ぶことにした。

北横岳より Nikon Coolpix 5700
2011年2月

2024年10月11日 追記
「光画」という用語について遡ると、1932~1933年に発行された写真同人誌名に辿り着いた。主宰者は野島康三、同人に木村伊兵衛、中山岩太らがいて新興写真を牽引したという。いわゆるピクトリアリズム(絵画主義)からの訣別を企図したようである。2018年に東京都写真美術館で企画展が行われた。下の表紙画像は当該ホームページからお借りした。

『光画』第1巻第1号 1932年 聚楽社
東京都写真美術館ホームページから
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2964.html


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