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毎日の詩、抜粋2024年9月


2024.9.1『広がる光景に自由を』
車通りの多い道の
脇に見える階段を登れば
河川敷が広がる
そこには誰もいないユートピアが存在する
ここでは何でもできると、
世間とは隔絶された時間と場所を
自らの手で探す
それこそが本当のアナキズム
そして自分だけのしるしを焼き付けていく

2024.9.6『流れの下に』
よい流れに乗っているときはそれでも不安定だ
いずれ定着する前の
動きとうねりに
体が躍りながらも危うさを
武器として味方につけるように
新しさが波に乗るのだ
だからこそ、足元を支えている思索が
どんなときも身体のそばに

2024.9.8『興味の持続』
人間個人への関心を徐々になくしていく
それはおそらく避けられない変化だ
そのなかでも興味が持続し続ける人がいる
忘れられないこの感覚を
少しずつ洗練させていった結果としての
目の前にある現実の人間、身体をもつ他者としての

2024.9.9『筆の先から』
紙の上から海へと潜る
それは想像の力を借りて
ーーーー
たくさんの魚を飲み込む巨大な鯨は
今日もこの世界に横たわって暮らしているなんて
その鳴き声が聞こえてくる、耳をすませば
ーーーー
元の場所へ帰ってきた私は
手に持っている筆から
宇宙を想像する様を見る


2024.9.13『泉のありか』
泉が少しずつ涸れてきているような気持ちになるとき
それは内側に待っているたくさんの水があるのだろうか
そう思えるならば毎日の苦しみもやっていけると
期待しながら車を走らせる日々は続く
私という器の知らない源泉を索めて

2024.9.14『嫌なことを』
厭う気持ちは水に流せない
少なくとも人間の自我の核に
嘘をつけないのが性(さが)なのだ
心が沈んでゆくように
夕日も沈んでいき、
疲れ果てた心身は
まどろみながら起き上がる、
善き人への道の
果てしなき苦しみは、続いていく


2024.9.20『苦しみがほどけるとき』
苦しみが終わり緊張がほどけると
さらなる疲れがどっと押し寄せてきて
僕はこの地上で倒れたくなる
仰向けでねむる先に見える
流れる雲は
社会で生きる人間が構築した
むなしい牢屋など
全く気にしない

2024.9.23『手につかむまで』
目の前にある奇跡が
何を意味するのだろう
すぐ手に入れられる現実が手のひらにあるとき
この心はうろたえる
背中を押す力も最後の応援も
それがいつか本当に意味があったと知れる未来は
いつも「今」からと、
ヒントは過去にあると、
先人は教える

2024.9.24『ゆっくりと向かう』
亀の歩みで進んでいることに
嫌気がさしている自分がいるとき、
目的を思い出すこと
目的は歩むことではなく、理解すること
そう言っても増えていく義務の数に
到底足りない時間と体力
人は有限であるが
やることは無限
この事実を眺める亀の歩み

2024.9.28『世界の片隅に』
誰も悪くない、けれども、、
という嘆きは時代の流れに残響として
きっと響き渡るに違いない
その悲しみの流れを無視するように進む世界は
個人のことを考えていないだろう
一人の人間が世界を動かすと同時に、それはつづく

2024.9.30『一つずつ進む』
ああ、今日という一日が終わる、
日々前進する人生などないからこそ、
前進の一日が喜びになる
いずれ下り坂を迎えることを知りながら
登ってゆくこの道の景色はいつもきれいだ
通いなれた場所を通る
円環構造のなかですらも

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