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#32 インド人シェフがマドゥライ料理を作ってそれをみんなで食べる、怪しい会に参加した

あなたは、ある日突然怪しい会に誘われたことはありますか?マルチかもしれないけど、まずは偏見をもたずにフットワーク軽く参加してみよう!美味しいカレーが食べられるかもしれないよ!


僕も先日ある食器食材店を営む人から、何やら怪しい会に誘われたのだ。都内の某調理室で、某インド人シェフと一緒に某南インドタミルナード州・マドゥライの料理を作って食べる会が開催されるという内容だった。それは怪しすぎるだろ〜、とニヤニヤしながら、速攻で参加する旨を伝える。さらに当日は早めに仕事を切り上げて都内の某調理室へ向かった。


到着するとすでに20人近くが集まっていて、平日の夜ということもあり仕事帰りのスーツ姿の方たちもちらほらいらっしゃる。一部の料理は既にできているが、残りはまだ下拵えの途中だった。そう、こういう会では大量に調理がされるので、手伝わなければいつまで経っても食べることができない。


まずはマトン・コラ・ウルンダイのタネを丸める。マトンのひき肉がスパイス、パクチーなどで味付けされている。初めて聞く料理名だけどノー・プロブレム。とりあえずその場に誰かしら詳しい人がいる。

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みんなが一心不乱に肉を丸めているのでそれに倣い、どんどんたこ焼き大の大きさにして並べていく。こういうのって性格が出るよね。

某インド人シェフは、これから揚げるというのにさらに上から油を塗りたくっていた。これを熱した油で揚げると、スパイシーな揚げミートボールとなる。

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さあ、お次はマドゥライ・ブン・パロタを伸ばして焼く作業だ。30人程度の参加者に対して200枚以上の生地が用意されていた。油を練り込みながら伸ばした生地を、油を手につけながら平たく伸ばし、油で揚げるように焼いていく。見よ、この大量の生地を。これを全部焼いた。

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もう、パンというよりは油で小麦を包むようなレベルの油の使用量だ。出来上がった生地を、でっかいタワ(フライパン)の上でじっくり焼いていく。これはもちもちのケララパロタとは異なり、サクサクでバリバリの平たいクロワッサンのよう。実際にマドゥライで食べられている主食だという。うわ〜お。

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パロタが焼き上がり始めると、隙を見て自分の分を確保し、食べ始める人もちらほら出始める。さあ、ぼちぼち食べるとしましょう。ここには秩序なんてない。調理室は、すでにインドと化している。


本日のメニューはこちら。上のタミル文字は何て書いてあるかわからん。

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マドゥライ・ブン・パロタは、仙台麩を思い出す油っこさだ。これをぐちゃぐちゃにほぐして、チキン・サールナをかけて食べる。パロタを崩すのは店のおっさんがサルビスでやってくれることもあるという。チキン・サールナはココナッツやポピーシードなんかが入ったマドゥライのチキングレービー。お玉ではなくカップを中に沈めるのがなんともインドっぽい。これは朝から大鍋で仕込んでいたというので、調理工程は見れなかった。

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マトン・チュッカは骨付きマトンのドライ。柔らかく煮込まれたマトンからカシアが香る。みんなで丸め倒したマトン・コラ・ウルンダイは若干パサついてはいるものの、香り高く肉肉しくて美味しい。

マドゥライでは、食事に胡椒をこれでもかとふりまくったマサラオムレツを添えたりすることが多いらしい。今回もそれを再現して、目玉焼きとオムレツが追加された。

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という具合に、今回は異国の見たことも聞いたこともないような料理を作って食べると言う、かなり怪しい会だった。まあ、参加費以外の金品を巻き上げられるようなこともなく、カレー以外のものに祈りを捧げるようなこともなく、無事にお土産付きで解放されたのでよかった。

たまには怪しい会に参加するのも悪くない。

やろうと思えば、平日の夜にでも簡単にトリップできる。旅に必要なのは遠くへの移動じゃなくって、新しいものごとに触れることを恐れない心と、口ずさめる歌なのかもしれないなあ。


かしこ

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