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#5 【徒歩はやめた】東海道沿いで出会ったカレー達7選


毎週月曜更新、勝手にカレー哲学。


旅から帰ってきて、息つく間もなく明日から仕事とは、本当に忙しい世の中だ。先週の日曜の朝6時に日本橋からスタートして、結局歩き通すことはできなかったけどなんとなく今回のカレー旅を勝手に振り返ります。

振り返ってみたら道中20軒のカレー屋に行っていた。どれも素晴らしいカレーだったので甲乙つげ難い。カレーは想い出の付箋とも言うし、特に想い出に残ったカレーと、付随する記憶を書き残す。


出会ったカレー7選

1.ケララの風モーニング

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ケララの風Ⅱがミールスの提供をやめ、モーニングのみの営業になって記憶に新しい。日本橋を6時に発った僕は、三時間ほど歩いて大森のケララの風モーニングで朝食と洒落込んだ。

シャキッとするラッサム、ほっとするサンバルに出来立てのイドゥリ、ワダ。キャベツのポリヤルにマサラオムレツ、チャイまでついて800円とは。先日のLOVEインディアでも沼尻さんのチャイをいただいたが、今回の店舗でいただいたチャイの方がグンバツに香り高くうまかった。

恒例の「カレー屋が近づくと周りを歩いている人が全てそこに向かっている気がして焦る現象」が発生して品川宿あたりから早歩きになったが、結果としてそんなに混んでいなかったので沼尻さんとじっくりお話しすることもできた。

とっても自由な人だという印象を受けた。朝形態になってから割とお店が暇で、人を集めればミールスも食べさせてもらえるらしいが、最近は空いた時間で野草を摘んだり、悪魔の高カロリー食品を大量に爆食いする会を開催しているらしい。思いつきをどんどん行動に移していけるのは素敵だ。

 「MEALS READY」の緑色本も購入し、旅の道連れとなった。



2.アダルトショップ黒猫改めカツカレージャイアン

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2軒のカレー屋に行き、日本橋から40kmほど歩いたところで、「あれ?このペースじゃあまりカレー食えなくないか?」とやっと気づいた。

そこから鈍行列車に切り替えて箱根を越え、雨の中沼津で一泊し2カレーを食べ、翌日静岡市で出会ったカレーがこちら。

元アダルトショップの店舗を改装し、ジャイアンそっくりの店主が提供するカツカレー屋さん。その名もカツカレーのジャイアン。カレーは日替わりで、この日はとんかつに牛すじの欧風カレーがかかっていた。そこに塊から削り取ったラスパドゥーラチーズをドーン!そしてお冷には卓上のカルピスをご自由に注げるシステム

もはやカロリーおばけ。そしてこのカレーが、確かに欧風カレーなんだけど甘辛い中に確かなスパイス感があり、さらにチーズもとろけていい具合に。沼津深海魚バーガーを食べた後でもがっついてしまう、大人の罪の味である。

結局アダルトショップのままやないかい!


3.バンブルビーのキーマ三昧

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2年前の夏にアタック失敗して以来、ずっと食べてみたかった大阪カレーのバケモノ的存在。全く情報が出ていなかったので営業しているか不安だったが、行ってみるとこの日一番で入れた。

初めてですか?と問われ、キーマ三昧をお願いすると「休む暇ないですよ」と言われる。どう言う意味なのか。やって来たるは鴨、羊、牛のキーマカレー。

ものすごいビジュアルである。一口恐る恐る食べてみると、ほとばしるスパイス感。そこまで圧倒的な辛さではないのだが、やはりじわじわと辛い。なんだこれは、しかしうまい。インドカリーを謳っているが、これは絶対にインドにはない。しかしうまい。口に運び、咀嚼し、飲み込みまた口に運ぶ動きを繰り返す。曼荼羅が頭に浮かぶ。


…気づけば、汗をかきながら食べ終わっていた。いま、カレーを食べながらショートトリップを体験していた。そんなカレーだった。



4.カルータラのチキンカレー

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お店を始めてもう22年になるという。このカレーを一言で表すならば「美しい」だろうか。シンプルでシャバシャバなチキンカレーは、スリランカカレー特有の丸みを帯びた香りが漂う。

グレービーというよりもはやスープに近いのだが、僕はこういうカレーが大好物だ。余計なものは一切乗っていない潔いカレー。だからこそ難しいだろうし、本物でないと生き残れないのだと思う。



5インド食堂TADKAのDAAL TADKA

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無計画に京都に来たはいいものの、結局ハイシーズンでホテルなどは全く空いていなく、久しぶりに京大吉田寮にお世話になることになった。昔寮で飼っていたエミューはいなくなっており、ビリヤニにされたのかもしれない。

そんな中、今回は京大カレー部の幹部の方とカレーを食べることができた。場所はもちろんTADKA。そこで頼んだDAAL TADKA。美味しいパスタ作ったお前…。

今回はこれを食べるために京都まで歩いて行こうと思っていたと言っても過言ではない。お店の名前を冠するメニューに自信がないわけがないに決まっている。

ムングダルとトゥールダルのミックスダルの上に、カシミールチリがまるまる一本ドンとTADKAされて乗っている。さらに大量の刻みにんにくでめちゃくちゃ香り高い仕上がり。一口食べて震えた。これは再現してみたい。

京大カレー部の方とのお話も盛り上がり、組織立ってカレー活動をする若いパワーを感じた。彼らの目下の悩みは「京都っぽいカレーって何だろう?」というものだそうだ。久しぶりに大学生と話して、いつまでも大学生気分ではいられないのだと改めて思った。



6.インド人家庭に上がりこんで作ったインド料理

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大阪で、プネー出身のインド人と一緒にインド料理を作ることになった。戸棚にどういうスパイスをしまっているかとか、普段どう言う風に料理しているかとか、そういう家庭の何気ない話を聞くのが好きだ。

マサラをいちいち調合することは現代インドでは少なくなっており、既製のミックススパイスを使うことがやはり増えていると言う。作りすぎたダルに、次の日サンバルパウダーをかけて味を変えて食べたりするらしい。

出来上がったのはSukatという桜えびのドライ料理、チョレ(ひよこ豆のカレー)、ダルタルカ、クスンブリサラダ、ビンディマサラ、チャパティ、パパド。

本当はミキサーでなくブレンダーを使いたいし、ダルは煮崩れていても形がなくなるまでホイッパーで潰したいと言っていた。

7種類入るスパイスボックスに何のスパイスを優先して入れるのかとか、家庭によってチャパティを直火で焼いたり焼かなかったりするのはなぜかというのを色々聞いてみるのが好きだ。ただ、大抵の場合特に理由はなく、その人の好みという結論に至ることが多い。それはそれでいいんだけど。

こういうどうでもいいことに時間を無駄使いして一生を終えたい。



7.ボンベイ庵のタンドリーチキンとチキンカレー

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旅の終わりに、もう僕、隠居してもいいですっていうカレー体験をした。今回のラスボス的店。

かつて浜松の街中にあったボンベイのオーナーが、山の中に隠居した後、お客さんの要望で復活し、細々と1日5名の予約限定でランチコースを提供している。そんな伝説のカレー屋さんである。

タンドリーチキンとチキンカレー。さらにとれたてのたけのこ。さっくりナンに土鍋炊きのご飯。ラッシーも美味しい。気持ちいい青空と、美味しいカレー、気持ちの良いホスピタリティ。せいせいするようなカレーだった。

なんかもう描写するのも野暮なような気がして、カレーの記号を消費するバケモノが嫌になってくる。


カレーを食べて本を読んで、たまにはどこか遠くへ行って、友とカレーを語らって、たまには踊って、畑でとれた野菜でカレーを作って、あることないこと書き散らす。そういう暮らしがしたい。


今日で祭りは終わり。明日からも強く生きような。



スペシャルサンクス

・一緒に横浜まで歩いてくれた3人
・ヒッチハイクで乗せてくれ、ついでに事務所に泊まらせていただいた親切な方
・サービスエリアで出会った素敵な車中泊家族
・泊めていただいた京大吉田寮の方々
・京大カレー部の方々
・鴨川で野宿するところを救ってくれたインド時代の友人
・カレー屋のはしごに付き合ってくれた大学時代の友人
・立ち飲み屋で隣あって仲良くなった後、怖い京都の人に怒鳴られていたあんちゃん




いただいたサポートは全てカレーの材料費と東京マサラ部の運営資金となります。スキやSNSでのシェアもお願いします。 インド料理やカレーの本を出したいです。企画案がたくさんあるので、出版関係の方、ぜひご連絡ください。